第6回 オブジェクトストレージを解読する その特徴とは?:クラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方(2/2 ページ)
クラウド時代において主流となっていくオブジェクトストレージを詳しくひも解いていきます。今回はその特徴について見ていきましょう。
特徴を比較してみると
オブジェクト、ファイル、ブロックそれぞれの特徴をまとめてみると以下の表のようになります。いずれも得意、不得意があり、データの利用方法、データを使うアプリケーションによっても使い道が変わってきます。
メリットは5つ
最後にオブジェクトストレージがユーザーに提供するメリットを挙げてみます。
拡張性
フラットなアドレススペースとシェアード・ナッシング・クラスタによって、理論的には制限なく容量を拡張(数100ぺタバイトクラス)していけます。また、クラスタが増えれば増えるだけ、パフォーマンスも増加できます。
可用性
データの堅牢性(データ損失リスクの低減)は、レプリケーション(複数コピーの作成)またはイレイジャーコーディング(エラー訂正コード)によって容易に高められます。Geo-dispersion(地理的に離れた場所に分散配置する手法)ベースのディザスタリカバリ、やシンプルなHTTPにより、場所や時間、デバイスに依存することなく、データにアクセスできます。
安全性(セキュリティ)
アクセスコントロールリスト(ACL)を利用したユーザー/アカウントアクセスキーベースのコンテンツアクセス権を設定できるほか、マルチテナント志向の設計暗号化も可能です。
効率性
容量効率が高く、IT業界標準プラットフォームを使用していることで、メタデータの拡張性が高く、ストレージポリシーの自動化も容易です。 拡張が簡単というわけです。
簡素性(シンプル)
データオブジェクトはHTTP/REST APIでアクセスできるため、LUNs(論理ユニット番号) やファイルシステムといった概念を伴うことなく、シンプルに管理できます。アプリケーション、クライアントOSの依存もありません。
次回は、オブジェクトストレージが適している具体的な分野についてご紹介します。
関連記事
- 第5回 ファイルがなくなる? データの配置や保存の仕組みがどうなるか
これまではクラウド社会で大きく変わりつつあるデジタルデータの扱い方、その注意点について話してきました。今回からはIT側から見た理想的なデータ保存形式について解説していきます。 - 第4回 デジタルデータのコピーは「何個」必要か
デジタルデータは、コピーが簡単で、送受信も簡単、その場で加工もできます。しかし、便利な半面、消失してしまいやすいリスクもあります。今回は「では、何個コピーを残せばよいか」について改めて考えましょう。 - 第3回 クラウドストレージの盲点
データの保存先は、もうクラウドでいいよね。……本当にそうでしょうか。いつでも、どこでも、どのデバイスでも便利に使えるようになる大きなメリットがある半面、デメリットもあります。今回は“データ永久保存時代”の観点で、あえてその盲点をひもときましょう。 - 第2回 データマイグレーションを実施する3つの注意点
みなさん「HPポケット・メディア・ドライブ」を覚えていますか。それはさておき、データの長期保存には廃れゆくメディアなどから刷新する「データマイグレーション」という手法が有効です。データマイグレーションを行ううえで考えるべき「3つの注意点」を解説します。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.