ケンタッキーFCが“ネット注文システム”を導入した理由:外食チェーン大手のIT戦略(1/3 ページ)
外食大手のケンタッキーがネットオーダーシステムを導入した。「え、今までなかったの?」と思われる方もいるかもしれないが、外食産業でネット予約注文に対応している企業は意外と少ない。このシステムが同社の“クリスマス商戦”を支えるのだという。
年の瀬が迫る今日このごろ、テレビでクリスマス関係のCMが流れることが増えてきた。中でも、この曲が耳に残っている方も多いのではないだろうか。
そう、ケンタッキーフライドチキン(KFC)のCMだ。このクリスマスキャンペーンは1985年から毎年続いており、同社にとって1年で客が集まる“書き入れ時”。クリスマス期間の売り上げはここ10年で伸びており、2014年はクリスマス前後の3日間で50億円を超えたという。
実は30年を超える歴史を持つこのキャンペーンに、大きな変化が起きている。それは「ネット注文サービス」の登場だ。2015年10月に全国でスタートしたこのサービスで、Webページからメニューを選択し、受け取り店舗や日時を指定して予約注文ができるようになったのだ。
「今までなかったの?」と思われる方もいるかもしれないが、外食産業でネット予約注文に対応している企業は意外と少ない。外食大手のケンタッキーはなぜ今、ネット注文を導入したのだろうか。
予約に手間取り、店舗が大混雑
ネット注文が始まる前、ケンタッキーのクリスマス特別メニューは、店舗での予約を受け付けていたが、人気が出るにつれて、店内が混雑するようになってしまった。
「クリスマスシーズンの売り上げは、約半分が予約注文ですが、店頭で予約注文を受けると1件あたり5分前後かかってしまいます。その間、通常のメニューを購入しようと並んでいる方を待たせることになり、結果として土日は店内が大混雑するという状態に陥りました」(日本ケンタッキー・フライド・チキン マーケティング部マネージャーの高尾淳二さん)
“予約注文に5分もかかるのか”と思われるかもしれないが、これは商品の受け取り日時やメニューを決めるのが大変なためだ。
ケンタッキーの場合、店舗ごとにチキンを作る量には限界があるため、商品を受け取る時間帯を15分刻みで指定し、人数を制限することでキャパシティーを越えないようにしている。
しかし、クリスマス当日などは受け取りが集中し、どうしても商品を渡せない時間帯が出てくるため、客が諦めて別の店に行ってしまうケースもあったそうだ。さらに予約時に店舗で前金を払うシステムや、クリスマス用メニューの種類を増やしたことも店内が混雑する一因になっていた。
「ネットで予約注文ができれば、○×で状況がすぐに分かるし、簡単に複数の店舗をまたいで“受け取り可能な時間”を探すことができるわけです。クリスマス商戦の対応に苦慮する中で、ネット注文に対応するべきだと考える現場の従業員は増えていきました」(高尾さん)。こうした背景があり、POSシステムの切り替えに合わせて、ネット注文システムを導入することになった。
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