第1回:FinTechとは何か:今さら聞けない「FinTech」の基礎知識
今やIT/ビジネス系のニュースで、この言葉を目にしない日はないほどの盛り上がりを見せている“FinTech”。なぜ、急に注目されるようになったのか、私たちの仕事や暮らしをどのように変えていくのか、本連載で解説します。
今やIT/ビジネス系のニュースで、この言葉を目にしない日はないほどの盛り上がりを見せている“FinTech”。しかし、FinTechがなぜ、急に注目されるようになったのか、私たちの仕事や暮らしをどのように変えていくのか――という点については、ピンとこない人もいるのではないだろうか?
本連載では、FinTechを取り巻く環境を整理しながら、今後の発展の可能性を探っていく。
FinTechの定義について
FinTechは「金融(Finance)と技術(Technology)を合わせた造語」と定義されている。しかし、さまざまなサービスが“FinTech”として名乗りを上げる一方、金融業はもともとIT集約的な産業であることから、従来の金融サービスと比べて何がFinTechで、何がそうでないかは、議論が分かれるところだ。本連載では、「IT技術を使って既存の金融領域に新たな付加価値やビジネスモデルを生み出すもの」と定義して話を進める。
FinTechの発展を支えた技術とは
技術の進化を抜きにしては語れないFinTechサービス。その発展を支えた要因としては、次の4点が挙げられる。
- IT技術の進化やクラウドコンピューティングの一般化によって情報処理のコストが大きく下がり、多種多様で大量なデータの蓄積や処理、分析が容易になったこと
- 各種センサーやスキャニング技術がストレスのない実用域に達したこと
- 人工知能や機械学習、非構造化データ解析といった技術が実用枠に達してきたこと
- スマートフォンが急速に普及し、人々がITを利用するシーンが変わってきたこと
こうした技術は、金融の担い手である銀行や証券会社も活用しているが、新たな付加価値や新たなビジネスモデルは、数多くのベンチャー企業によってもたらされてきた。身近なところでは、銀行・証券・カード会社などの情報を一括管理できる資産管理サービスや、従来のカード専用決済端末ではなく、スマートフォンでクレジットカード決済ができるようなサービスが既に普及しはじめている。
FinTechサービスは、ベンチャー企業が担い手の中心であることから、従来の金融機関による「総合金融サービス」としてではなく、「決済」「融資」「送金」「投資」「仮想通貨」といった“領域に特化したサービス”として登場してきた。
特に欧米においては、ベンチャー企業の資金調達エコシステムが確立しており、こうしたベンチャー企業が巨額の資金調達を背景に、個人や法人向け、あるいは金融機関向けに、さまざまなサービスを提供している。
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