Web会議はコミュニケーションプラットフォームになるか:Weekly Memo(2/2 ページ)
Web会議システムが着実に普及している。国内の同市場を牽引するブイキューブは、自社製品を「ビジュアルコミュニケーションプラットフォーム」と呼ぶ。果たしてそうなり得るか。
社会生活にも深く関わるプラットフォームへ
さて本題に話を戻すと、ブイキューブは2014年9月に提供開始したV-CUBE Oneを「ビジュアルコミュニケーションプラットフォーム」として本格的に打ち出した。ただ、間下氏によると、このプラットフォーム構想はV-CUBEを商品化した2004年に確立しており、当時からビジュアルコミュニケーションとも表現していたという。
では、同社が提唱するビジュアルコミュニケーションとは何なのか。間下氏は次のように説明した。
「ビジュアルコミュニケーションとは、離れた場所を映像と音声で結び、今まで移動して会わないとできなかったコミュニケーションを実現させるサービスのことだ。利用シーンは社内会議や拠点間会議にとどまらず、研修や教育、お客様への営業活動やサポート、パートナー企業への製品トレーニングなど、幅広い業務コミュニケーションでの利用を想定している」
さらに、「今後、ビジュアルコミュニケーション市場は急速に発展するだろう。その成長要因としては、スマートフォンやタブレット端末といった企業におけるモバイルデバイスの普及による利用環境の多様性、会議だけではない業務コミュニケーション用途での利用拡大、製造業でのフィールドワークや遠隔医療、遠隔教育をはじめとした業界固有のコミュニケーションシーンでの利用が挙げられる」と語った(図1参照)。
業界固有のコミュニケーションシーンでの利用に対して、同社が提供するのは「業界特化ソリューション」だ。その業界と具体的なソリューション内容を示したのが図2である。間下氏は同社として、この中でもとくに「教育(文教)」「医療」「金融」、および公共での災害対策や製造でのプラントの点検に適用される「ロボティクス(ドローンの活用)」の4分野に注力していく構えだ。
ビジュアルコミュニケーションプラットフォームを基にこうした業界特化ソリューションを打ち出していけるようになってきたのには理由がある。それは各業界での規制緩和が進みつつあるからだ。間下氏によると、「例えば教育分野では、昨年から公立高校において遠隔教育が行えるようになった。さらに今後1〜2年内には公立の小中学校でも可能になる見通しだ。この動きは教育の仕組みや少子化問題、さらには政府が打ち出している地方創生の進め方などにも大きく影響を与えるものになる」という。
そう考えると、ビジュアルコミュニケーションプラットフォームは企業や個々の業界にとどまらず、社会生活にも深く関わるものになり得る。日本のITベンダーでこうした幅広く適用される可能性のあるプラットフォームをグローバルに展開して成功したケースはまだない。その意味でもブイキューブの今後の活動に注目しておきたい。
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