コレ1枚で分かる「スマートマシンが実現しようとしていること」:即席!3分で分かるITトレンド
学習機能を備え、自律的に行動するスマートマシンは、社会の利便性や生産性を向上させるものと注目されています。人間の活動をどう支援してくれるのかという視点から、スマートマシンの役割を整理してみましょう。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
スマートマシンがもたらす未来と課題
スマートマシンは2つのことを実現しようとしています。1つは「人間にしかできなかったこと」を代替し、効率化すること、もう1つは「人間にはできなかったこと」を可能にし、人間の能力を拡張することです。
前者は、「置換」と「支援」に分けられます。自律走行車がトラックやタクシーの運転手を、作業用ロボットが工場の作業員を、自律型無人機が戦闘機のパイロットを置き換えてくれます。また、音声を認識し、言葉の意味や文脈を解釈し、検索やプログラム操作を代替してくれるでしょう。
後者は、「助言」と「強化」があります。人間には一生かかっても読み尽くせないほどの膨大な医療文献や法律文書を読み、これを分析し、最適な解釈や判断基準を示してくれます。また、膨大な物質の組み合わせを検証し、遺伝子やタンパク質の合成メカニズムを探り、これまでになかった薬や個人に最適化されたカスタムメイドの薬を造り出してくれるでしょう。また、スマートマシンによってつくられた新しい知識や解釈、最適化されたルールが、機械を制御し、自ら状況を判断して行動する自律化を実現します。
人間の能力不足を補い、強化もしてくれます。例えば、障がい者や高齢者の筋力や認知能力を補完して日常生活を快適なものにしたり、言葉の異なる人同士がリアルタイムで対話し、意思疎通が図れる世界を実現したりするでしょう。
その一方で、「人間にしかできない」と考えられていた仕事を、低コストでミスなく、効率よくこなせる機械の出現は、これまでの職業をなくしてしまうかもしれません。しかし、これらをうまく使いこなし、「人間にはできなかったこと」ができるようになれば、人々の生活はますます豊かで快適になります。使いこなしていくための人間の知恵が求められています。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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