コレ1枚で分かる「機械学習のモデル」:即席!3分で分かるITトレンド
機械学習の学習パターンは、人間が自然と行っている学習活動に例えると3つに大別できます。それぞれの特徴を具体的に解説します。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
機械学習の3モデル
機械学習の方法には、大別して「教師あり学習」「教師なし学習」そして「強化学習」があります。
入力と正解例の関係を示したデータを学習データとして入力し、その関係を再現するように特徴を抽出、モデルを生成するやり方です。
例えば「イヌ」という正解を付した写真、「ネコ」という正解を付した写真を機械に学習させ、「イヌ」や「ネコ」それぞれに固有の特徴やパターンを見つけ出し、両者の違いをうまく表現できる推論ルールやモデルをつくり出します。
教師なし学習
なんの説明もない学習データを入力し、抽出した特徴のパターンから類似したグループを見つけ出し、それぞれのモデルを生成するやり方です。
例えば、「イヌ」「ネコ」「トリ」を区別することなく学習データとして入力すると、それぞれの特徴パターンの違いを見つけ出し、推論ルールや固有のモデルを生成します。それぞれを特徴付ける「概念」といえるものをつくり出しているといえるかもしれません。
強化学習
推論結果に対して評価(報酬)を与えることで、どのような結果を出してほしいかを示し、その結果をうまく再現できるモデルを生成するやり方です。
例えば、ゲームの得点が高ければ「+」に評価し、低ければ「−」に評価することを繰り返します。得点が高くなる、つまり“プラス評価”という報酬が与えられるようなゲームのやり方を再現できるルールやモデルを生成します。
それぞれの学習モデルについて、その性能を高めるための研究が進んでいます。ただ、それぞれに特徴がある反面、用途の向き・不向きもあります。これらをうまく使い分け、あるいは組み合わせることで、機械学習の実用性を高める取り組みが進んでいます。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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