Apple、「エラー53」問題にアップデートで対処
非正規業者が修理したiPhoneの一部で「エラー53」が表示され、“文鎮化”する問題について、AppleがTouch ID関連のiOSの機能の安全を守るためと説明し、端末を復元するためのiTunes経由のiOSアップデートをリリースした。
米Appleは2月18日(現地時間)、訴訟問題に発展している「エラー53」に対処するiPhoneのアップデートをリリースした。
この問題は、「iPhone 6」あるいは「iPhone 6 Plus」を非正規の業者に修理させた一部のユーザーが、iTunes経由のiOSのアップデート中に「エラー53」が表示されて端末を利用できなくなり、端末内のファイルがすべて消えてしまったというものだ。
このアップデート(iOS 9.2.1のアップデート版)はiTunes経由でのみ有効で、OTA(Over The Air)でアップデートしている場合は表示されない。Touch ID機能を搭載する端末(iPhone 6/6s/6 Plus/6s Plus、iPad mini 3/4、iPad Air 2、iPad Pro)が対象だ。
このアップデートでエラー53は表示されなくなるが、非正規業者で修理した場合はTouch IDは使えない。Touch IDを有効にするにはAppleのサポートに連絡する必要がある。
この件を報じた英Guardianによると、非正規業者に修理させたiPhoneの復活には、Appleによる修理で270ポンド(約4万4000円)掛かったという。
Appleは同日、この問題についてのサポートページも公開した。このページで、「iOSで未確認または想定外のTouch IDモジュールが検出されると」アップデートできなくなるよう設定していると説明している。悪質な業者がTouch IDのセンサーを非公認なものに置き換えれば、AppleはiPhone内のデータへの不正アクセスからユーザーを守れなくなる恐れがある。
同社は米TechCrunchに対し、「ユーザーにご不便をお掛けしたことを謝罪する。これ(エラー53)は工場試験のためのもので、ユーザーに影響を与える意図はなかった。この問題で保証範囲外の修理代を支払ったユーザーは、AppleCareに連絡してくれれば払い戻しする」という声明を送った。
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