2016年、企業がIoTに着手しなければいけない理由:今さら聞けない、IoTの基礎知識【前編】(4/4 ページ)
「IoT元年」と言ってもよいほど、IoTへの注目が高まった年だった2015年。市場動向や様子を見ていた企業も多いと思うが、2016年こそIoTを始めなければ、格差はどんどん開いていくという。その理由は……。
「お勉強モード」はもうおしまい。2016年はIoT実行の年に
2015年は「IoT元年」と言ってもよいほど、IoTへの注目が高まった年だった。八子氏自身もさまざまな企業とIoTへの取り組みを協議してきたが、情報収集や検討といった「お勉強モード」を脱していない企業が多かったという。
「よくお客さまには『IoTってコンセプトだけじゃなくて、プロダクトもあるんですか?』と聞かれるのですが、IoTを実現するプロダクトも導入事例も既にあるんです。例えば、お客さんの動線や工場のモノの流れなどをリアルタイムに分析して瞬時にフィードバックするようなことをできるソリューションがある。だったらなぜやらないのか、というところまできてるんです。だから2016年はお勉強モードはおしまい。やると決めるときですよ」(八子氏)
また、日本の企業は特に新しいことに対して“勉強”に時間をかけ、手を出すまでに時間がかかる傾向にあると八子氏は指摘する。
「日本と米国で、IoTへのアプローチに唯一違いがあるとしたら、米国の場合は『まずやってみましょう』なんです。なぜかと言うと、データがたまらないとシミュレーションもできないし、何が不足しているのか分からない。だったら早く始めようという考え方なんです。
ところが、日本企業の場合は『もうかるのか』とか『溜めたデータをどういう目的に使うのか』とか、『まずはハラオチさせてくれ』といわれるんですね。そのやりとりをしている間にあっという間に3カ月と半年がたってしまいます。それでいかに出遅れてしまうか実感できていない」(八子氏)
例えば、昨月のデータと比較する体制が整うには1カ月、昨年同月のデータと比較しようとするならば1年かかる。使い方はどうあれ、データを取っていないと何も始まらないし、早くデータを溜め出した企業は早く分析できる。もうかるかどうか分かってから動くのでは遅いと八子氏は警鐘を鳴らす。(後編に続く)
関連記事
- 特集:「IoT」で変わる、ITインフラの“理想形”と“現実解”
- なぜ、IoTはビジネスを“一変させる”のか?
インターネットに接続されるデバイスは増え続けており、さまざまな企業が自社のビジネスをどうIoTに対応させるか、対策を迫られている。シスコでIoT関連のコンサルティングを手掛ける八子氏によると、ビジネスにIoTを適用するための考え方やフレームワークがあるという。 - データが変える、クルマの未来とIoT
すべてのモノがネットワークにつながる“IoT”時代、それは自動車も例外ではない。現在も通信機能を持つクルマ、いわゆる“コネクテッドカー”の普及が進みつつある。インターネットにつながる「未来のクルマ」とは、どのようなものなのだろうか。 - 企業のIoT活用を阻む“3つの障壁”
富士通がIoT機器向けに、センシングモジュールとデータを分析するミドルウェアのパッケージ「ユビキタスウェア」を発売した。このユビキタスウェアは、企業がIoT活用をためらう「3つの障壁」を解決するソリューションだと同社はアピールしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.