第42回 コストセンターと見なされる日本的プリセールス:テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」(2/2 ページ)
SEなどのステップアップ先に位置付けられることが多い「プリセールス」ですが、日本では「営業支援」的な役割とみなされがち。そんなイメージをどうすれば打破できるのでしょうか。
“セールスマインド”を植え付ける
攻めの名前をつけたら、あとは結果を出すだけ。少し強い言葉ですが、直販プリセールスであっても間販プリセールスであっても、これは忘れないでください。
プリセールスは商談の「受注確度」を上げるのが最終的なゴールではない。「受注率」を上げることがゴール。勝たなければ始まらない―――。
SEからのステップアップとしてプリセールスに起用する場合、その人には営業経験がないことから、思いどおりに動いてくれないこともあります。例えば、口では攻めと言いつつもどうしても営業の後ろにくっついて技術的なフォローをするだけだったり、テクニカルに最高な設計を追い続けてしまったり(上流設計がしたくてプリセールスになったSEに多い)してしまいがちです。
繰り返しますが、プリセールスは実際に受注することがゴールです。営業の都合が合わなくても、自分一人で客先に行って商談をまとめるくらいの“セールスマインド”が求められます。
日本企業の場合、プリセールスの給与は技術職のガイドラインを適用するケースが多いですが、欧米や外資系企業のプリセールス職はインセンティブ制、つまり歩合給が当たり前です。もちろん、完全歩合ではありませんが、売れないと給与も下がるといった危機感・死にもの狂いな意識を持つことが重要です。
なお、インセンティブ制はプレッシャーを与えるだけではありません。目標を達成したらその分のリターン(給与を多めに支払う)がないと、メンバーのフラストレーションにつながるどころか、離職率に影響したり“ブラック”と言われたりしかねません。このためには、損益分岐点のボーダーライン、つまりマネージャーによる「目標設定」がとても重要になります。
※編集部より……次回の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」は6月の掲載予定です。お楽しみに!
小川大地(おがわ・だいち)
日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。
カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション。
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