第16回 旅行の準備が早い人はデータの管理もうまい? スマートな技とその極意:クラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方(2/3 ページ)
クラウドの出現で、人類が今まで築き上げてきた量に匹敵するデータをわすか数年で生成できる時代になりました。増え続けるデータの管理は大変そうですが、簡単にしていくヒントを旅行の荷造りから得られます。それは――。
データをスマートに管理する5つの習慣
旅行での荷造りをうまくするように、データを上手に管理していく上では次の5つの習慣をみにつけていくことが大切です。
1.優先順位を決める
常にデータの重要度を意識してデータを管理すると、その都度データの保存先を迷わなくて済みますし、後で探すのも簡単になります。大事な情報は複数のコピーを分けて保存し、それ以外は大きなストレージプールにそのまま保存しておいて、必要に応じて検索して見つけるという方法もできます。先ほど紹介したWebの公開データはリンク集で管理するということも身軽になるためのテクニックです。
2.保存先を決める
もし複数のデータ保存先(ストレージ製品やサービス)があれば、「階層管理」を考えてみるのも良いでしょう。頻繁にアクセスするデータは高性能ストレージに、そうでもないものはネットワークストレージやクラウド、ほとんどアクセスしないけど長期保管が必要なもの、あるいはセキュリティ対策としてオフラインで保管したいものはテープメディア、という具合です。
3.パターン化する
「このカテゴリーのデータはここに保存」「○○日後にはアーカイブストレージに移行する」といったパターンを何種類か決めておくと、データの仕分けが簡単になります。これをテンプレートとして常時意識すれば、その情報がなぜ、どれくらいの期間必要なのかを判断できますし、後で検索しても見つからないといった事態も減るでしょう。
4.ルール化する
データには“鮮度”があり、時間とともにアクセス頻度が下がっていくものがほとんどです。例えば、メールは生成から90日でアクセス頻度が最初の数%まで下がるという調査結果もあります。このような場合は、90日を超えたメールは自動的に別のストレージ階層に移動するという「ルール化」をしておくことで、データ管理の低コスト化、最適化が可能になります。このルールをもとに、自動的にデータを管理するソフトウェアの利用も効果的でしょう。
5.チェックリストを作成する
以上のようなことを頭の中で意識していても、結構漏れがあったり、微妙に変わってきたりするものです。そうすると、検索で見つからないデータが出てきたり、大事なデータを消してしまったりということにつながりますし、データ探しに大量な時間を費やすことにもなりかねません。上記の4項目をまとめた基本的なポリシーだけでもよいですから、常に基準となる物差し――リファレンス――を決めて、チェックリストにしておくことをお勧めします。迷ったらそのチェックリストを見るだけでデータ管理方法を思い出せるので、労力をかけずに比較的高い効果が得られると思います。
関連記事
- 第6回 オブジェクトストレージを解読する その特徴とは?
クラウド時代において主流となっていくオブジェクトストレージを詳しくひも解いていきます。今回はその特徴について見ていきましょう。 - 第8回 オブジェクトストレージを使う前の基礎知識と注意点
オブジェクトストレージは多様なデータを大量かつ安価に保存する用途に適していますが、その特性から注意すべき点もあります。今回は使う前の基礎知識を解説します。 - 第9回 オブジェクトストレージをより良く動かすサイジングのツボ
ここまでオブジェクトストレージを使う前の基礎知識を中心に解説してきましたが、サイジングについても従来型ストレージとは異なるポイントが幾つもあります。その“ツボ”を紹介しましょう。 - 第13回 オブジェクトストレージの新たな活用 どんなところに効く?
これまで次世代ストレージとして注目されているオブジェクトストレージの特徴やメリット・デメリットについて解説してきました。そのまとめとして、筆者が気になっているオブジェクトストレージの新たな利用方法を紹介します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.