Windows 10へのアップグレード、混乱のまとめと今後を占う:Enterprise IT Kaleidoscope(2/2 ページ)
Windows 10へのアップグレードをめぐる騒動が起きている。その原因と対処方法、企業での対応などについておさらいしてみたい。
企業内のPCのアップグレードは?
今回のアップグレード手順は、コンシューマー向けのPCだけに当てはまるものだ。企業や組織でドメインに参加したり、WSUS(Windows Server Update Services)を使用したりしているPCには適応されないので、Windows 10へのアップグレードが強制的にスケジューリングされることはない。
しかし、今年に入り「Windows 10を入手する」プログラムがドメイン参加しているPCにも配布されているため、企業内のPCでもユーザーが個別にWindows 10へアップグレードできる状態になっている。
企業内のPCを勝手にユーザーがWindows 10にアップグレードしないようにするには、事前にアップグレードを抑制するパッチをインストール(Windows 7 SP1はこちら、Windows 8.1はこちら)し、グループポリシーなどで「Turn off the upgrade to the latest version of Windows through Windows Update」を有効にすればいい。
詳細に関しては、MicrosoftのTechnetのAsk Coreに手順が出ている(関連リンク)。
企業や組織でのリスクは、社員が自分のPCを勝手にWindows 10へアップグレードし、トラブルが起こることだ。この場合も、コンシューマー向けの手順と同じように、アップグレードをキャンセルしたり、Windows 10へのアップグレード後に元のWindows OSに戻したりできる。
企業では、「ソフトウェアアシュアランス」(SA)契約を使って、Microsoftのソフトウェアを利用する権利を購入している。このようなライセンスは、複数年のサブスクリプションモデルとなっているため、ユーザー企業のスケジュールでWindows OSのアップグレードを行える。もちろん、サブスクリプションの期間中ならいつアップグレードしても、無償で新しいOSにできる。
SAなどを使っている企業は、SAの期間内にアップグレードすればいいが、SOHOや小規模企業にとっては、SA契約などをせずにPCにバンドルされているWindows OSをそのまま利用していることが多い。こういった場合は、7月29日までにWindows 10へのアップグレードを行う方がいいだろう。現在使用しているアプリケーションが動作するのか、使っているPCがWindows 10へのアップグレードに対応しているかなどを事前に調べる必要はあるが、できるならWindows 10へアップグレードした方がいい。OS自体としては、Windows 10の方がセキュリティ面でも、機能面でも優れているからだ。
もしアップグレードしないと判断した場合、次回にPCを買い換えるときにはWindows 10のPCしかない。1〜2年でPCの更新を考えているなら、今回のタイミングでWindows 10にアップグレードし、時期を見計らってPC自体の更新を考えた方がいいだろう。
Windows XPの延長サポートが2014年4月に終了し、多くの企業がWindows 7に移行した。しかし、Windows 7も2015年1月にメインストリームサポートが終了し、2020年1月には延長サポートが終了する。こういったことを考えれば、2014年にWindows XPからWindows 7へ移行したSOHOや小規模企業(SA契約を行っていない企業)は、今回の無償アップグレードの期間中にWindows 10へのアップグレードを検討した方がいいと思われる。
もしくは、2020年1月のWindows 7の延長サポート期限の近くまでPCを使い続け、Windows 10のPCに更新するしかないだろう。この場合でも、現在使用しているアプリケーションがWindows 10で動作するのかチェックする必要がある。
繰り返しなるが、Windows 7の延長サポートは2020年1月に切れる。実質的には2019年中にはPCの更新やOSのアップグレードを行わなければならなくなる。無償アップグレード終了後は、Windows 10を新たに購入する。アップグレード パッケージやアップグレード キャンペーンなどは用意されていない。Windows 10 Proであれば、購入価格は2万5800円(参考価格。Homeは1万7600円)だ。新規購入するOSの代金に数万円を足せば、Windows 10をプリインストールした新しいPCも購入できる。
Windows 10へのアップグレード手順に関していろいろ問題はあるが、SOHOや小規模企業は今回の無償アップグレードをぜひとも検討してほしい。
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