第11回 IT管理者不足なのにデータの管理はだれがするべきか:データで戦う企業のためのIT処方箋(2/2 ページ)
前回までデータ管理の視点から世界のITシステムの環境を解説してきました。ここから「社内を生かす」か「社外を生かす」か、という方針の必要性を挙げましたが、実際のデータ管理はだれが行うべきでしょうか。今回はユーザー企業やシステムの規模を軸に、自社管理とアウトソーシングの適切な選択方法について解説します。
データ量でもIT管理者がパンクする
ITインフラ管理の観点では、データ量の伸びも顕著です。以前から、およそ2年で2倍というペースで増加が続いているうえに、ビッグデータやIoTといったキーワードに代表される非構造化データの伸びが著しく、これまでの一般的なデータ管理方法では追いつかなくなってきています。
調査会社によれば、2020年までにサーバ台数は従来の10倍、データ量は14倍に伸びると予測されています。しかしITスタッフは1.5倍しか増えないと予測され、これは一人のITスタッフが管理するモノは約7倍に膨れ上がることを意味しています。
こうなると、いくら省力化を図ったとしてもユーザー企業のIT担当者は普段の運用だけで手いっぱいの状況になり、新しい技術やソリューションを網羅的に追随することは現実的に不可能です。そのため、IT部門は短期・中期の両面から自己の役割と位置付けを再度考慮しなければなりません。そのうえでITシステムの設計・運用・管理に対してはリーダーシップを取ってプロジェクト化し、DevOpsに代表されるようにユーザー部門側の積極的な参画を通じて実質的なリソースを補充し、同時に不適切なシステム設計・運用の回避による後工程での手直しの削減・効率化が図れるよう変化していくことが求められます。
それでは、新しいデータ管理、ITインフラ管理としては、どのように定義・設計・運用・管理していくことが望ましいのかでしょうか。前回はユーザー企業におけるITインフラ管理として、「社内を生かす」か「社外を生かす」かの大きく2つの方針を決める必要があると紹介しました。さらに、この点を掘り下げていきます。
自社管理とアウトソーシング活用の違い
「社内を生かす」方法は、自社でシステムを主導的に管理、運用する方法です。この方法を取る場合、将来予測される人手不足、ひいては一人あたりの負担の増大に対処するため、ITインフラ自体の近代化、効率化が必要になります。
一方の「社外を生かす」方法は、主にアウトソーシングによって社外に運用管理を委託する方法になります。この方法では、ユーザー企業のIT部門は主に計画、企画と業務部門との接点として、プロジェクト管理や要望、要件の整理といった社内調整を主に担当し、日々のITインフラそのものの提供や運用管理は外部のSIerやマネジメントサービスプロバイダー(MSP)といったIT関連企業に任せることになります。
いずれの場合も一つひとつの業務ごとに運用・管理する従来手法は現実的ではありませんので、ユーザー企業は今後のITインフラ全体を計画し、考慮して判断することとなります。それぞれの方式にメリットとデメリットがあります。要点を比較したのが次の表です。
この表に挙げた2つの方針は、どちらが正しいというものではなく、各企業の文化や体制、取引先などとの関係から適切なものを選択するべきものとなります。ユーザー企業の規模によっては、両方を併用することもあり得ます。次回は、上記2つの方針それぞれについて、より詳しく説明します。
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