Windows 10無償アップグレード終了後にユーザーを待ち受ける世界:Enterprise IT Kaleidoscope(1/4 ページ)
まもなくWindows 10への無償アップグレードが終了を迎える。もし7月29日までにアップグレードをしなかったら、その後はどうなっていくのか。ユーザーの対応方法を考察する。
無償アップグレードをめぐる混乱
Windows 10への無償アップグレードでは、ユーザーが意図しない形でアップグレードが行われたことで、さまざまな問題が起きた。米国では、勝手に行われたWindows 10へのアップグレードによってアプリケーションが起動せず、新しいPCを購入するまで仕事が遅滞したと訴えたユーザーに対して、Microsoftが1万ドルの賠償金を支払うことにした。国内でも消費者庁がWindows 10への無償アップグレードに対して注意喚起を行っている。
こうした流れから、Microsoftは、アップグレードを設定するウィンドウの機能を修正し、「無償アップグレードを辞退する」という項目を追加したり、「Get Windows 10」プログラムのウィンドウに表示されている「×」ボタンを押しても、アップグレードを承認したことにせずに、数日後に再度通知画面を起動したりする措置をとった。
しかし、Microsoftは、7月29日までWindows 7/8.1のユーザーの無償アップグレードを積極的に促す方針を変えていない。無償アップグレードの終了日が近づくと、「Get Windows 10」ではウィンドウとして表示されていたアップグレードの通知が画面全体を覆うようなデザインになり、アップグレードを強力に勧めてくる。
なぜアップグレードを推し進めるのか?
MicrosoftがここまでWindows 10へのアップグレードを強力に推し進めるのは、「2018年までにWindows 10が動作するデバイスは10億台に達する」と、2015年の同社の開発者向けカンファレンス「Build 2015」で明言したことを実現するためだ。
2016年の5月5日、MicrosoftはWindows 10のインストール台数が3億台に達したと発表している。調査会社IDCなどの予測では、2016年に全世界で2億6090万台ほどのPCが出荷される見込みだ。この予測には、AppleやGoogle Chrome Bookなども含まれているため、Windows PCに限定すると、2億2000万台〜2億4000万台ほどではないかと予測されている。また、企業向けに新規出荷されるPCでは、ダウングレード権を利用してWindows 7がプリインストールされているケースもある。
こういったことを考えれば、Microsoftの思惑の通りにWindows 10のシェアが順調に増えているわけではない。
Microsoftは、Windows 7 Professional/Windows 8.1をプリインストールしたPCの提供を2016年10月31日で終了すると発表している。これ以降、PCベンダーは全てのPCにWindows 10をプリインストールして販売する必要がある(このあたりは各社が別の形でWindows 7のプリインストールの継続を模索しているようだ)。
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