高い技術力と「脱縦割り」で世界へ NEC・新野社長が語る成長回帰のシナリオ:トップインタビュー(1/4 ページ)
遠藤前社長からバトンを託され、4月にNECの社長に就任した新野隆氏にインタビュー。目まぐるしく変わるITトレンドの中で、今後どのように動いていくのか。IoTプラットフォームやセーフティビジネスなど、さまざまなキーワードが見えてきた。
「社会ソリューション事業へ注力するという方向性は間違っていない」――。中期経営計画発表の場で、こう明言したNECの新社長、新野隆氏。16年3月期決算は減収減益と厳しい状況だが、グローバル攻略を軸に成長路線を打ち出した。
目まぐるしく変わるITトレンドの中で、NECは今後、どのような成長路線を描こうとしているのか。新野社長に聞いた。
社会ソリューション事業を“実行できる”組織へ
――4月に社長になられてから3カ月、ご自身の中で大きな変化はありましたか?
新野社長: 会社のトップという立場になり、周りの見る目が変わりましたね。「副社長と社長は全然違うぞ」とは聞いていたのですが、確かに違う。社長というのは会社に1人しかいません。今までと同じ人と接していても期待されるものが変わってきていて、プレッシャーがありますね。それをひしひしと実感しています。
――16年3月期の決算発表でもお話しされていましたが、あらためて今後NECが目指す方向性について教えてください。
新野社長: 3年前に社会ソリューション事業に注力しようと決め、さまざまなことをやってきましたが、2015年度は思ったほどの業績が得られませんでした。これは反省すべき点です。社会ソリューションに注力するという方向性は変えませんが、今後はこれをどうスピードを上げて実行していくのかというフェーズになると考えています。
そのためには、人のマインドや組織、ビジネスモデルなど、多くの物事を変えていかなければなりません。例えば海外ビジネスへの対応を担うCGO(Chief Global Officer)という役職を置いたり、外から人を連れてきて専門チームを作ったり。CTOを置いて今までは縦割りで行ってきた開発投資を、全社レベルで注力分野を決めるなど、一段視座を高めた上で、いろいろなことをスピーディーに決められるような組織に変えるための施策を今行っています。
――会見では、IoTプラットフォームに投資するというお話もありました。
新野社長: IoTプラットフォームと言っても非常に範囲が広いので、いろいろなところに投資していますよ。中でもM2Mのソリューションなどはいい例です。さまざまなセンサーから集めたデータを標準化するとか、セキュアな環境にするとか、NECが得意とする分野を1つのプラットフォームで可能にすることを目指しています。
IoTをNECだけのプラットフォームで全てを賄うことはできません。いろいろなプラットフォームと連携しながら、われわれが強い分野、持っている技術を提供していく。他にいいものがあるなら、そのプラットフォームを統合していくようなイメージだと考えています。
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