第13回 システムの運用管理を外部委託するときにIT部門がやるべきこと:データで戦う企業のためのIT処方箋(1/3 ページ)
ITシステムを自前で管理することは自由度や変更の俊敏さにつながりますが、日々の運用で精一杯の状況では新しい技術の習得などが難しいもの。アウトソースはIT部門の負担を減らす古くからの解決策ですが、丸投げではシステムの柔軟性が損なわれるだけです。今回はデータ爆発時代に合わせてどう変えていくべきかを紹介します。
最近は、「持つIT」から「使うIT」が主流になってきましたが、運用管理については、自社で継続するケースと外部に委託するケースが引き続き存在します。前回は自社管理する際にIT部門がとるべき立ち位置や必要な取り組みを紹介しました。この大きな流れや考え方は変わりませんが、企業におけるIT部門の立ち位置や人的リソースによってできること、できないことが変わってきます。
特に人的リソースが不足する場合は、社外に業務を委託したり、場合によっては全業務や全システム基盤の管理を任せたりすることで、効率よくITインフラを管理していく手法がとられます。今回は社外を生かして効率を上げるアウトソースをする際の方針の決め方を説明していきます。
ITシステムの設置場所が変わってきた
ITシステムを設置する場所は、自社の建屋に設置する(オンプレミス形式)以外に、データセンターに預ける方法が一般的です。これに加えて、最近ではクラウドも特別な選択肢ではなくなってきました。
オンプレミス形式の場合、運用管理を委託することはできますが、リモートアクセスで外部の委託先からアクセスできるようにするなど考慮すべき点が多く、あまり現実的ではありません。そのため外部委託する際には、ITインフラの設置場所としてデータセンターやクラウドなど、委託しやすい場所にシステムを設置していることが一つの前提となります。
最近では、「持つIT」で運用しているオンプレミス型企業でも定期停電などへの対策の必要性から、新規システムを自社で設置するケースは減ってきています。本稿では、「ITインフラをデータセンターに預ける」または「データセンターのインフラを利用する」という前提で説明します。
データセンターは、古くは「電算室」や「電算センター」とも呼ばれていました。そのサービスを提供する事業者は、当初こそITインフラとして利用するモノを預かる、いわゆる場所貸しのみを実施しているところが大半でした。ただし、場所貸しだけではビジネス上の差別化が難しく、また、利用するユーザー企業からしてもメリットが少ないので、事業者は預かり方や提供の仕方を工夫して、コスト効率や自由度を高めてきました。
預かり方や利用方法の違いをまとめたものが次の図になります。
事業者はさらにこれを発展させ、「手元に預かっている」という状況を付加価値にした運用管理などのサービスを組み合わせて提供するようになりました。こうした形態を「マネージドサービス」と呼び、このサービスを提供している事業者が「マネージドサービスプロバイダー」(Managed Service Provider=MSP)と呼ばれるようになりました。
最近では大半のデータセンター事業者が、最低でもMSPとして付加価値サービスを提供するようになっています。ユーザー企業はこれを活用することで、IT部門だけではできなかったことを実現させていけます。では、MSPに「何を(どこまでを)」「どうやって」任せればよいのでしょうか。
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