若者の「PCが使えない」は、退化ではなく進化である:仕事と生活と私――ITエンジニアの人生(2/2 ページ)
「最近の若者はスマホの普及でパソコンを使えない」「若者のパソコン離れ」などと問題視されることもあるが、それって本当に問題だろうか? 実は彼らは“進化”しているのだ――IT技術者向けトレーニングを担当する著者が、そんな他とはちょっと違う見方からこの問題を考えます。
「使えない」のではなく「使わない」
若者がPCを使わないのは、PCを使う必要がないし、PCは使いにくいからである。今のPCが本当に使いやすいと思っている人がいたら、その人は自分の感性を疑ったほうがいい。単に文書を見るだけなら、明らかにスマートフォンやタブレットの方が使いやすい。
特殊なアプリケーションが必要な場合や、複雑な表の操作や、マクロを利用したい場合などはPCが必要になるが、ある程度ビジネス経験を積まないと、PCの便利さに気付くことはないだろう。学生のうちにPCを学習する意味が感じられないのは当然だし、それでは学習意欲も湧かないことだろう。
ほとんどの世代の社会人は、会社に入ってからPCの操作を習ったはずだし、それで特に問題はなかっただろう。もともとPCは誰でも使えるように設計されているのだから当然である。決して使いやすくはないのは大きな問題だが、ちょっと練習すれば“一応使える”ようにはなっているはずである。たとえOfficeソフトの「スタイル」の概念を理解していないとしても。
また、電子メールのマナーもよく問題になる。タイトルが付いていないとか、いきなり本文から入るとか、そういう話である。
これも、“立派な大人”が「教えてください」とか「ありがとうございました」「ご相談」などというタイトルを付けてくるのだから、似たようなものである。むしろ、レスポンスの早い若者の方が優秀ではないか。
いきなり本題に入るのも、電子メールならそれほど不自然でもないだろう。付き合いの浅い顧客に送るのは考えものだが、そもそもビジネス文書のマナーは新人研修で学ぶものだから、問題ではない。
もう一度書いておく。学校でPCの操作を覚える必要はない。今の若者は、旧世代の人間よりもはるかに優秀だから、必要ならすぐ習得する。今、PCを知らないのは、必要がないからだ。必要のないことを学習することはできない。
著者プロフィル:横山哲也
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社で、Windows ServerなどのIT技術者向けトレーニングを担当。Windows Serverの全てのバージョンを経験。趣味は写真(猫トライブ)。詳しいプロフィールはこちら。
関連記事
- 「報告書、スマホで書いてもいいですか?」
いよいよわたしが担当する新入社員研修が始まった。担当するのはMicrosoft Wordの使い方。新人もみんな使ったことがあるっていうし、楽勝楽勝……と思っていたのだけど、現実はそう甘くはなかったのだった。 - 電話に出られない新人、それってスマホのせい?
ヘルプデスクの実績を見込まれて(?)、電話応対研修を担当することになったわたし。1人1台電話を持っているこの世の中、「電話できない」という人はいないはず。そう思っていたのだけど……。 - LINE世代の新入社員、「7つの特徴」をまとめてみた
お酒の力も加わってか、加熱する女子3人の新人評。7つの特徴がまとめられる中で、私は新入社員教育とヘルプデスク対応で大切にすべきことは、結構似ているんじゃないか……と考えていた。 - LINEで遅刻を連絡する新人、これはアリ? ナシ?
今年もウチの会社に新入社員がやってきた。LINEで遅刻の連絡するなんて時代が変わったわね――なんて思っていたら、彼らの研修で登壇することになってしまったのだった……。一体ヘルプデスクに何をやれっていうの?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.