「AWSはIBMメインフレームより閉鎖的」 エリソン会長が徹底“口撃”:Oracle OpenWorld 2016 Report(3/3 ページ)
Oracle OpenWorld 2016では、IaaS領域にも切り込む同社のクラウド分野への転換が全面的に打ち出された。エリソン会長兼CTOは2回目の基調講演でもAWSへの対抗心をあらわにした。
セキュリティ対策を最優先
SaaS/PaaSの新たな施策については、製品開発担当のトーマス・クリアン社長が9月20日の基調講演でデモンストレーションを交えながら説明した。
SaaS/PaaSは、データマネジメントやアプリケーション開発における各種サービスや機能の連携をシームレスにすることで、さまざまなデータをリアルタイムに分析・活用しながら生産性の高い業務を実現するメリットを提供していくという。
クリアン氏のデモでは、受発注や在庫管理、データ分析、チャット、人事情報、スケジューラーなどの機能を組み合わせるモバイルアプリケーション開発のシナリオ例が披露された。
このサンプルアプリを使うと、例えば、事前注文に在庫が足りないというアラートが管理システムからアプリに通知され、担当者はその場で地域別の注文状況や在庫状況などを分析して、アラートの原因を探る。さらに、対策を検討するためにミーティングを招集するなら、人事情報から必要なスキルや経験を持つ候補者を探し出して、Slackからミーティングの日時をセットする。モバイルアプリであれば、通勤途中の電車でスマートフォンをタップしながら短時間のうちに対応できるという。
また、クラウドアプリケーションを管理するための「Management Cloud」では、セキュリティ監視・分析機能を強化した。この機能では、グラフィルカルダッシュボートで24時間以内に発生したセキュリティ関連のイベントやログの状況、不正アクセスの疑いといった危険な事象(インシデント)、システムで自動的に解決したインシデントの件数といった情報を提供する。個別のセキュリティイベントについても、イベント内容の発生状況を時系列で詳しく把握したり、分析による対策方法を検討・実施したりできるという。
米国では、政府系機関や企業から数百万件規模の大量の個人情報が漏えいするなどのセキュリティ事故が多発し、クリアン氏によればセキュリティ対策を最重点課題に位置付けているとのこと。
クラウドサービスでは、膨大なログやイベント情報、ユーザーの利用履歴、セキュリティ機関から提供される脅威インテリジェンスといった情報を相関分析し、サイバー攻撃による不正アクセスやデータ侵害などの脅威を自動的に検知、防御する仕組みづくりを推進しているという。
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