コレ1枚で分かる「APIエコノミー」:即席!3分で分かるITトレンド(2/2 ページ)
ビジネスの拡大を目指してAPIを公開する企業やサービスが増えつつある今、「APIエコノミー」の特徴や新たなサービス創生の仕組みなどについて整理しておきましょう。
ビジネス創生を加速
APIエコノミーは、Uberにとどまらず、さまざまなサービスに広がりはじめています。
例えば、中小企業の会計管理を行うクラウドサービスが、ユーザーの同意を得た上で日々の売上帳簿のデータを地方銀行に提供することで融資のための与信を迅速に行えるようにする、あるいは自動車会社が自動車に搭載されたセンサーから運転データとして損害保険会社に提供し、運転の丁寧さや走行距離、走行地域などのデータに基づいて保険料率を変動させる自動車保険などが挙げられます。
特に金融機関が、残高照会・入出金明細照会・口座情報照会といった情報や、資金移動に関わる情報を提供するAPIを用いるようになると、金融サービスの新たな可能性が開けるとの期待が寄せられています。残念ながら我が国では、こういったAPIを正式に公開している金融機関はまだありませんが、一部の機能については実証実験は始まっています。(参照:FinTech)
APIを公開することは必ずしも容易なことではありません。例えば、セキュリティ、認証、利用者ごとの権限設定、課金、性能管理など、検討すべき課題は多岐にわたります。
しかし、自分たちだけでは実現できない魅力的な機能をいち早く自社サービスにも取り込み競争優位を創出しようという動きは、今後とも広がっていくでしょう。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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