検索順位とCTRは連動しない? Google検索のカラクリを分析してみた:マーケティングメトリックス研究所 ITmedia派出所(2/3 ページ)
Google検索にまつわる「検索結果順位とCTRは反比例しており、順位は高ければ高いほど良い」という話は、果たして本当なのか? 著者が自身のサイトのデータを用いて検証してみました。
検索順位とCTRは関係ない? 見逃される「トレンド」
検索順位が下がるたびにクリック数が下がるのは、ある意味では当然の傾向です。検索結果のページの上部にあるコンテンツ、すなわち順位が高いコンテンツがクリックされやすいのですから。この法則が崩れれば、何のためにSEO対策をやっているのか分からなくなります。
一方で、CTRと掲載順位の散布図を見ると、必ずしも「検索順位が高い=CTRが高い」とはいえないことが分かります。この2つの事実から、検索順位と表示回数は必ずしも連動していないということが導けます。
これもよく考えてみれば当たり前の話です。表示回数は、そのページが扱っているキーワードの検索量とトレンドに左右されます。
データの中にトレンドの分かりやすい例がありました。キーワードツールで「有馬記念」と検索すると、およその検索量が分かります。そして、ほとんどの検索が12月に行われていることが分かります。この偏りがトレンドです。
「有馬記念」というキーワードは12月に検索が集中していることを踏まえて、週ごとの推移を表で確認してみましょう。
12月が過ぎると順位が少し上がりましたが、表示回数は大きく下がっています。当然ですが、有馬記念が終わって(トレンドが終わり)検索量が大きく減ったからです。
次に阪神ネタ記事で最も表示回数が多かった「阪神タイガース 優勝」の週ごとの推移を表で確認してみましょう。
順位は「阪神タイガース 優勝」の方が高いのに、表示回数は「有馬記念」が高い。検索量の違いが如実に表れている結果です。
ちなみに、キーワードツールで「阪神タイガース 優勝」と検索すると以下のような結果になりました。
両者を見比べて考えるべきは、掲載順位とCTRとトレンドの関係です。「有馬記念」の方が、順位に対してCTRは数倍高いのです。これはキーワード(ジャンル?)に応じてトレンド時期が違い、その結果がCTRに現れるのではないでしょうか?
人がWebで検索をするモチベーションは時期(トレンド)だけでなく、その情報のニーズによって異なるのでしょう。となれば、モチベーションによってCTRが変わると考えるのが適切であり、順位で表示回数とクリック数を集約してCTRを算出するアプローチは、全ての人の「検索に対するモチベーション」を無視してしまう結果になります。これもまたリアルではありません。
果たしてこうした結果を基に、コンテンツのよしあしを評価することが適切なのでしょうか? 少なくとも、時期や状況に応じて判断しなければミスリードにつながる可能性を秘めていると考えます。
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