リーダーはツラいよ――でも部下もツラいよ?:【最終回】女子ヘルプデスク今昔物語 第12話後編(2/3 ページ)
チームビルティングの研修中に突如、「リーダーに向いていない」と相談してきた新入社員。でもね、リーダーだけじゃチームは成り立たないのよ……。
そんなことを考えているうちに、新入社員の各チームはそれぞれ答えをまとめ始めていた。もちろん、メンバーシップに“正しい答え”なんてものはない。彼らは部下を持ったことはないだろうけれど、部活やサークル、アルバイト先などで、後輩と一緒に何か作業や仕事をした人もいるだろう。
そこから想像して、自分が理想とする部下像を考えてくれればそれでいい。何となく仕事するのと、こうなりたいって思いながら仕事するのでは結果がおのずと違ってくるから。それに、彼らがどういう部下像を持っているのかを把握するいいチャンスにもなりそうね。
チームメンバーの理想的な行動って?
わたし: では、どこのチームが一番手で発表したい?
新入社員H: はい! 僕たちのところからお願いします。
お、今期の新入社員では一番リーダーぽい人が手を挙げた。頼もしいぞ、Hくん。
わたし: じゃ、そこのチームからお願いします。
新入社員H: 僕たちのチームでは、メンバーシップについて、3つの力が必要だとまとめました。1つ目は、自分の仕事に責任を持つことです。上司や先輩からただ指示されたからやるのではなく、責任をもってやることが大切だと考えました。2つ目は、遅刻をしないです。朝もそうですが会議とか打ち合わせとかでも時間を把握する力って大事だねって話になって、これを挙げました。
3つ目はリーダーの話をちゃんと聞く、です。コミュニケーションで積極的傾聴をやりました。リーダーには誤解なく正しく伝える責任があるとともに、メンバー側にも、それを正しく聞く姿勢が求められると考えました。
わたし: なるほど。仕事に責任を持つこと、時間をちゃんと管理して遅刻をしないこと、そして、聞く姿勢を持つことの3つにまとめたんですね。OK。2番目の遅刻をしないことは、「約束を守る」と置き換えることもできそうね。今までの学習内容も考えてまとめてくれました。じゃ、次のチームはどこが発表しましょう?
新入社員: ……。
あら、次が続かない。やっぱり、目立つのがイヤなのかしら。
わたし: いつも言っているけれど、どうせ発表しなきゃならないのよ。トリを飾りたいならともかく、そうじゃないならさっさと発表しちゃったら?
新入社員K: 次、発表します。
わたし: はい。
新入社員K: うちのチームではいろいろな意見が出て、まとめられていないんですが、一番多かった意見が「与えられた仕事に自分なりの目標を持とう」という話でした。先ほどのチームと一緒で責任感をもって仕事をする、という意見も出ましたが、メンバーの立場でどう責任を持てるのか、そもそも責任を持つってどういうことか、という話に発展して、目標を持って、それを達成することが責任を持つってことじゃないか、という話にまとまりかけていました。
次に多かったのが、チームワークを大事にしたいねって話でした。情報共有や仕事を手伝うとか場を乱さないとか、投げやりにならないとか、そういうのをまとめてチームワークって言うんじゃないかってまとめていたところでした。以上です。
わたし: なるほど、責任感と目標って表裏一体なのよね。目標がないと、どう責任をとっていいか分からないしね。
新入社員K: はい。責任を取るって、辞めることか? という話にもなりましたが……。責任をとって辞めるのはリーダーの方だろうという話にもなって、これは違うなと。
おいおい、何だか激しく間違っているような気もするが、最終的に到達した結論はいい感じね。
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