コレ1枚で分かる「機械学習の仕組み」:即席!3分で分かるITトレンド
「機械学習」をそのプロセスから見ると「学習」と「推論」に分けられます。それぞれの特徴やディープラーニングとの位置付けを確認しておきましょう。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
人工知能を支える中核的な技術に「機械学習」があります。機械学習とは、大量の学習データを機械に読み込ませ、分類や判断と言った推論のためのルールを機械に作らせようという仕組みです。そのプロセスは、大きく「学習」と「推論」の2つに分けることができます。
学習
大量の学習データから特徴を抽出し、推論を行うための「ひな型」となる「推論モデル」を生成するプロセスです。
学習を行うには、入力された学習データにどのような特徴があるのかを人間が見つけ出し、設定する必要があります。例えば、コップであれば、大きさ、重さ、直径、形状といった特徴の組み合せに着目することを人間が決めなくてはなりません。この特徴の組み合せを「特徴量」と呼んでいます。この特徴量に基づいて大量のデータを読み込んで、コップを識別するに最適な特徴量の値を決定していく過程が学習です。
従来の機械学習では、人間が特徴量を決定し設定しなければいけなりませんでした。これに対し、機械学習の1つの手法であるディープラーニングでは、機械が自動で最適な特徴量を見つけ出してくれます。人間の経験値や思い込みにとらわれることなく、純粋にデータだけから特徴量を決定できることで、機械学習の精度は飛躍的に向上しました。
このようにして、「コップであること」を決定する特徴量の値とその組合せパターン、すなわち「推論モデル」が作られるのです。
推論
与えられたデータを推論モデルに当てはめて、推論結果を導き出すプロセスです。
例えば、コップの写真から、その特徴を抽出し、予め用意されている「推論モデル」とその特徴を照合します。それがコップの特徴を著す推論モデルと近いとなれば、「これはコップです」という推論結果が導かれます。
機械学習が登場する以前は、人間が経験を踏まえて推論ルールを作成していました。これを「機械学習」に対して「ルールベース」と呼んでいます。しかし、モノやコトは多様であり、複雑です。それを精度良く推論するルールを人間が作ることは容易なことではありません。そのために、この手法はやがて衰退していくことになります。
その後、インターネットの普及によって、大量の学習データが簡単に手に入るようになったこと、高性能のコンピュータやストレージを安いコストで利用できるようになったこと、大規模なデータを効率よく並列処理できるソフトウェアが充実したことなどが、機械学習の可能性を生み出しました。
そして、脳科学の成果を取り入れた機械学習の手法であるディープラーニングの登場により、その実用性は急速に高まっているのです。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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