アプラス、クレジットカードシステムをIBM LinuxONEで刷新
クレジットカード決済処理を担う基幹システムにLinuxプラットフォーム「IBM LinuxONE」を採用。FinTechに代表される決済方法の多様化などに備え、事業成長を目指す。
日本IBMは10月25日、新生銀行グループのアプラスフィナンシャルの連結子会社アプラスに、クレジットカード決済処理を担う次世代基幹システムとしてLinuxプラットフォーム「IBM LinuxONE」が採用されたことを発表した。
アプラスは、ショッピングクレジット事業やカード事業、決済事業などを展開し、「Tカードプラス」などのクレジットカードを発行する。今回のシステム刷新では、IBM LinuxONEをシステム基盤に採用することでIT環境と業務の高度化を実現し、事業成長を支えることを目指すものだとしている。
クレジットカードシステムには、高いセキュリティに加え、非常に重いバッチ処理に対応する高いCPU処理能力が求められるという。採用したIBMの機器はハードウェアで暗号鍵を保持する強固なセキュリティと、最大で1日25億トランザクションを処理する能力があり、24時間の稼働対応にも十分に耐え得る点が注目されたとのこと。このほか、ストレージには基幹業務向けストレージ「IBM DS8880」、バックアップ用のディスクストレージには「IBM Storwize V5000」、テープ装置として「IBM TS3200」を採用した。
今回のシステム刷新によってアプラスはコストの最適化とオープン化を実現し、クレジットカード業界のセキュリティ標準「PCIデータセキュリティスタンダード(PCI DSS)」にも準拠するとしている。
キャッシュレス化やFinTechに代表される決済方法の多様化といった市場の変化を受け、金融業界では迅速な対応が求められており、これを支えるシステム基盤の整備は喫緊の課題といえる。こうした流れの中で、高可用性と堅牢なセキュリティ機能に優れるメインフレーム系の技術と、柔軟性の確保に役立つオープン系の技術の融合は今後も注目されそうだ。
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