日立製作所は10月27日、サイバー攻撃による制御システムや情報システムへの不正侵入リスクをなくす「一方向中継セキュリティソリューション」を開発したと発表した。31日から提供し、価格は個別見積りとなる。
同社、電力や交通など社会インフラ分野の制御システム向けに、独自のネットワークプロトコルに対応した一方向中継装置「NX Oneway-Bridge」を提供。今回は、TCP/IPやFTPといった情報システムのネットワークプロトコルにも対応させ、管理者用にWebブラウザベースのファイル転送や異常通信時のリカバリー対応などを実現するゲートウェイ装置を開発した。これらをセットにして制御システムや情報システムへの不正侵入リスクをなくす「一方向中継セキュリティソリューション」として提供する。
一方向中継セキュリティソリューションでは、外部ネットワークとシステムの接続ポイントにおけるデータの流れを物理的に一方向へと制御する。外部からシステムへの不正進入を排除でき、サイバー攻撃などによる情報漏えいや制御システムの不正操作による重大事故の発生といったリスクをなくせるという。
また、Webブラウザで操作するファイル転送機能により、管理者は特別なユーザープログラムを使用することなく、ファイルの転送処理が可能になるという。加えて、システム側で検出が不可能な“パケット抜け”などの通信異常が発生した場合でも、ゲートウェイ装置(受信側)で検知してメールで管理者へ通知するため、リカバリーなどの迅速な対応を支援するという。
同社は今後も機能拡充を続け、公共や教育、医療、研究、金融、製造・流通、通信などへの提供も見込む。外部ネットワークからの接続を制限してセキュリティリスクを低減させるべきシステムを抱える組織では、ソリューション活用によるセキュリティレベルの向上が期待される。
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