「国産」と「外資系」のパッケージソフト、結局何が違う?:失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(1/3 ページ)
外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。本題に入る前に、外資系ベンダーと国産ベンダー、両者の製品の違いについておさらいしておこう。
なぜ「外資系パッケージソフトウェア」の導入で失敗してしまう企業が多いのか――。この連載では、その理由と失敗しないためのコツを紹介していますが、今回は「外資系」ベンダーの製品であるが故の注意点について紹介します。
- 前回の記事はこちら→そもそも、パッケージソフトとSIを混同してはいけない
突然ですが、読者の皆さんは、欧米に本社がある多国籍IT企業が、日本をどの程度魅力的な市場だと考えているか分かりますか? 国際的に見ても経済が発展しているし、ITも普及しているし……割と上位なのではないかと予想した方は、残念ながらハズレです。
「国産」と「外資系」のパッケージソフトは、なぜ違うのか
日本は以下に挙げるような事情で、多国籍企業から見て有望な市場とは言えなくなっています。どれもどこかで聞いたことのある話ではないでしょうか。
- 成熟社会で、今後あらゆる市場規模が人口減少と共に縮小する
- 市場に参入するためには、国産のメジャープレイヤーと競争しなくてはならない
- 製品に求めるクオリティが「やたら」高い
1つ目の「人口減少」については、逆にITで生産性を高めようという政策もあり、好材料になるという見方もありますが、まだまだ実例の少ない未知の世界です。加えて、バブル以降は好景気の話はなく(アベノミクスもまだ弱い)、財布のヒモが固くなる一方の企業に、モノを買ってもらうのがいかに厳しいかは、想像に難くないでしょう。
2つ目の「ローカル企業との競争」についても、日本は世界的に見て結構珍しいレベルです。人口1億人程度の小さな島国に、富士通や日立、NECといったICTビジネスを展開する大企業を筆頭に、大小さまざまなSIやソフトウェア企業がひしめいています。この2つの理由に加えて、高品質を維持するための投資が必要であることを考えれば、どうしても投資対効果は下がってしまいます。
国産ソフトウェアメーカーの多くは、日本のユーザーを第一に考え、日本の市場ニーズをベースに製品開発を行っています。一方、外資系ソフトウェアメーカーも同じように“自国ファースト”であると同時に、海外に対してはユーザーが多いなど、有望な投資先の国が優先されます。できるだけ多くの国の市場に受け入れられるように、世界市場のニーズをベースに製品開発を行っているのです。
ニーズが異なれば、同じ目的の製品でも、優先される機能は異なります。中でも最も分かりやすいのは「言語」の問題です。
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