ソニービルと3.5インチフロッピーディスクの思い出:仕事と生活と私――ITエンジニアの人生(2/3 ページ)
1980年にソニーが開発し、最盛期には世界市場で年間約45億枚生産されたという「3.5インチフロッピーディスク」。その歩みを、エンジニア的な視点から振り返ってみます。
3.5インチフロッピーディスクの用途
私の勤務先は、プロフェッショナル向けコンピュータ教育会社だ。3.5インチFDの用途は主に2つあった。
1つはPCのセットアップ用だ。システム管理作業の演習を行うため、講習会の前日には人数分のPCをセットアップする必要がある。MS-DOSとネットワーククライアントを組み込んだFDから起動することで、サーバからOSイメージをダウンロードしてインストールを行った。
その後、FDイメージをネットワークに置き、仮想FDから起動するシステムを構築した。FDイメージの作成には仮想PCの仮想FDを使えるので、物理FDを使う必要はない。
ただし、「Windows Vista」以降は16ビットDOSベースのセットアッププログラムが存在しないため、FDからMS-DOSを起動してセットアップすることはできない。セットアップにはWindowsのサブセットである「Windows PE」をDVDまたはCDあるいはネットワークから起動する必要がある。
現在は、「Windows Server」標準のWDS(Windows展開サービス)を利用し、ネットワークブートしたWindows PEからセットアップを自動的に行っている。
もう1つは、演習中に作成したファイルを持ち帰ってもらうためだ。演習とはいえ、講習会によってはかなり複雑なシステムを構築する。持ち帰って復習したいのは当然だろう。
こちらの用途では、3.5インチFDほど安価なメディアは見つかっていない。教室のPCはCD-Rが使えるが、演習用OSによっては書き込み機能が備わっていない。一般的にはUSBメモリということになるのだろうが、FDほど安価ではない。
受講者が持ち込んだUSBメモリを使うことは可能だが、USBメモリの使用が会社で禁止されている場合もあるし、都合良くUSBメモリを持ち合わせていない場合も多い。
Webベースのストレージ機能や電子メールを使って自分に送るのが現実的なところであろう。幸い、一部の教育コースを除き、演習環境はインターネットに接続できる。
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