ちょっと前に流行ったスティックPCはビジネスに使えるか?:ビジネスギア探訪(3/4 ページ)
2014年頃に「スティックPC」が登場しました。今では家庭のテレビなどにつなげて動画サービスを楽しむといった用途が中心です。これを仕事の場合なら、どう活用できるのかを検証してみます。
次にメールとMicrosoft Officeを設定してみます。ここでも内蔵ストレージの空き容量に注意が必要です。スティックPCの場合、できるだけローカルにアプリケーションをインストールしないように工夫すべきですが、Microsoft Office 365であれば、ブラウザ上でOutlookやOfficeアプリケーションが使えます。
クラウド化が進んでここまで便利になるとは、ほんの数年前には予想もしていませんでした。ただOffice Onlineでは操作できる項目が多少減っており、動作もややもたつきます。それでもセカンドPCとして使うには十分でしょう。
ちなみに、筆者のオフィスはOffice 2016が標準で、インストールに3.3GBの容量が必要です。これならMS-NH1の空き容量でも対応できますので、今回はローカルにインストールしてみました。その他にWebブラウザのブックマークのインポートやプリンタなどの設定を行い、ほぼオフィスのセカンドPCとして使えるようになりました。WebブラウザはGoogle Chromeを使っていますが、メインPCからhtmlファイルをエクスポートしてスティックPCのGoogle Chromeにインポートすれば同じ環境になります。
また、個人用ファイルは全てOneDrive経由で同期しながら編集していますので、PCが複数台になってもシームレスに作業できます。今回の検証によって現在は、メインPCではグラフィックやWeb関連の作業を行うことで安定した環境になりました。一方、スティックPCでは主にWebブラウジングやメールの処理、添付ファイルの編集などの日常業務を行っています。
参考までにベンチマーク値も紹介します。スティックPCのスペックに近いものには、同じAtomプロセッサを搭載するタブレットPCがあります。筆者がモバイル用途で使っているSurface 3と比較してみました。ベンチマークはオフィスワークで使うことを想定して、「PCMARK 8 WORK CONVENTIONAL 2.0」を用います。
ベンチマーク時のプロセッサクロックは、MS-NH1-W10が最大値で1333MHzとなり、Surface 3は2000MHzを示しました。2倍近い差です。公開されているPassMark CPU BenchmarksでもMS-NH1-W10のAtom X3735Fは885であるのに対して、Surface 3のAtom x7-Z8700は1725と、倍以上の開きがあります。
そしてベンチマークのスコアは、MS-NH1-W10では1163、Surface 3は1520でした。トータルで見た場合、プロセッサクロックのような2倍ほどの開きはなく、4分の3程度の差になります。しかし価格は、MS-NH1-W10がアウトレット価格だったことを考慮しても、大きな違いがあります。スティックPCのベンチマークの値が低くても、重い処理をしなければ十分使えるでしょう。
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