ちょっと前に流行ったスティックPCはビジネスに使えるか?:ビジネスギア探訪(4/4 ページ)
2014年頃に「スティックPC」が登場しました。今では家庭のテレビなどにつなげて動画サービスを楽しむといった用途が中心です。これを仕事の場合なら、どう活用できるのかを検証してみます。
最後に、このスティックPCの形状を生かせるビジネスシーンを考えてみましょう。最も活用できそうなシーンは、HDMIインタフェースを利用して会議室などのプロジェクターに常時接続するという方法です。
ビデオ出力の規格は、レガシーになりつつあるD-SUB 15ピンやかなり浸透してきたHDMIなどが混在しており、さまざまであり、常に複数の種類のケーブルを用意しなければなりません。また、ノートPCの薄型化によってミニコネクタを経由しなければならないこともしばしばあります。コネクタを常時持ち歩くのは煩わしいですし、いざという時に接続できないこともあります。筆者も実際に米国オフィスでの会議の際に接続がうまくできず20分ほど会議時間が削られる事態がありました。
もしプロジェクターにスティックPCを常時接続していれば、出席者は必要なデータが入ったmicroSDやUSBメモリをスティックPCに接続するだけで投影できるようになります。複数のコネクタを用意する必要もありません。IT部門はコネクタ問題から解放され、接続できない時の対応作業もなくなります。筆者も実際にオフィスのプロジェクターに接続してみましたが、すんなり使えました。気をつけることとしては、終了時にきちんとOSをシャットダウンするくらいです。
他にも展示会などのデモやデジタルサイネージでの利用が考えられます。通常はノートPCを大画面ディスプレイに接続して表示しますが、ノートPCは場所を取ってしまいます。そこでスティックPCを直接ディスプレイに接続すれば究極の省スペースが実現します。数日間に渡るイベントの場合、翌日までPCを安全な場所に保管しなければなりませんが、スティックPCであれば、ディスプレイから外して持ち帰るだけ。筆者はイベント運営も担当しており、ぜひイベントで実践してみたいと思います。
今回の検証でスティックPCのビジネス利用も可能性があると分かりました。世に登場した後も進化を続け、最新モデルはCore M3プロセッサや64GBストレージを搭載するなど、メインPCでも使えるスペックですから、用途もさらに広がるでしょう。今後は、例えば液晶モニタとキーボードのみで構成された薄くて軽いデバイスがあると面白いかもしれません。それにスティックPCを接続してノートPCに早変わりすれば、従来のイメージを超えた軽量マシンが誕生しそうです。
執筆者紹介:羽鳥正明
外資系IT企業を中心にマーケティング業務に20年以上に渡り従事。プロダクト・マネージャー、広報、マーケティング・コミュニケーション、コンサルタント、Webデザイナーなど、マーケティングに関わる業務は一通り経験し、現在はシリコンバレー発の仮想化専用フラッシュストレージであるティントリジャパンのマーケティング本部長を務める。もともとPCや家電が好きで、かれこれ20年ほど秋葉原に住み、ぷらっと家電の街をパトロールするのが日課になっている。
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