基幹システムのクラウド化に欠かせない「3つの要件」:Weekly Memo(2/2 ページ)
企業の基幹ITを支える「エンタープライズクラウド」に求められる要件は何か。日本オラクル幹部が挙げた3つのポイントとは――。
IaaSだけではクラウドのトータルコスト削減にならず
そして3つ目は、運用まで含めたトータルコストとして大幅に削減できることである。本多氏によると、この点はオンプレミスとの比較は当然ながら、他のクラウドサービスと比べてもユーザーから見てコストメリットを得られる形でなければ、エンタープライズクラウドではないという。
オンプレミスとの比較については図に示した通り、クラウドによる自動化でワークロードを削減できることにより、設備、ハードウェア、ソフトウェア、継続的な保守といった全てのコストを大幅に削減することができる。これは料金形態も変わるので当然といえるが、本多氏はさらにOracleによる試算として、1000コアのシステムを4年間利用した場合のコア当たりの月額コスト(設備、ハード、ソフト、保守)を次の3つの環境で比較した内容を説明した。
まず、Oracle製品(データベースとアプリケーションサーバ)をオンプレミスで利用した場合、月額コストは1243ドルとなる。では、Oracle製品をAmazon Web Services(AWS)のクラウド上で利用した場合はどうなるかというと、1162ドルでオンプレミスとそう変わらない。それがOracleのクラウドになると、先の図に示したようにトータルコストを削減できることから、780ドルに抑えられるという。つまり、「AWSのIaaSを利用してもクラウドのトータルコストからすると微減にしかならない」(本多氏)というわけだ。
ただ、それでもOracleは昨年秋、IaaSだけでもAWSのクラウドサービスより安い料金体系を打ち出した。なぜか。本多氏は先ほどの2つ目の要件になぞらえながら、「必要なピースを全てそろえるだけでなく、そのピースそれぞれが競争力のあるサービスでないと、お客さまのニーズに応えることができないからだ」と説明した。
エンタープライズクラウドに求められる要件として上記の3つのポイントを挙げた本多氏は、「オンプレミスであれクラウドであれ、エンタープライズ向けにはOracleが長年にわたって磨き上げてきたRACに代表されるような信頼性の高い技術とノウハウが不可欠だ。オープンソースソフトウェアを組み合わせた出来合いのものとは実績においても経験においても大きな差があると確信している。真のエンタープライズクラウドは、Oracleこそがお届けするとの強い気概で臨みたい」と力を込めて語った。
上記の3つのポイントは、あくまでOracleが考えるエンタープライズクラウドの要件ではあるが、企業にとってはチェックしておくべき内容といえそうだ。
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