“仮想と現実の一体化“はビジネスをどう変える? 「HoloLens」が日本上陸:Microsoft Focus(2/2 ページ)
ヘッドマウントディスプレイ型デバイスをつけると、現実空間に3Dの物体が浮かび上がり、つまんだり動かしたり、中を見たり、操作したりできる――。2017年1月18日、そんな不思議な体験ができるHoloLensの出荷が日本で開始された。
日本で高い関心、予約数で他の国を圧倒
米本社主導での先行事例の紹介や、日本における同社経営トップによる説明が何度も行われたという一連の取り組みの効果もあって、日本のHoloLensの売れ行きは好調だ。平野氏は、「最初の1週間の予約数は、既に先行して発売していたドイツなど欧州6カ国の合計販売台数の3倍という規模に達している」という。具体的な販売数には言及しなかったものの、ダントツの売れ行きを示している模様だ。言い換えれば、世界で最もHoloLensが盛り上がっているのが日本だといっていい。
出荷傾向を見ると、約9割が開発者向けのDevelopement Edition(価格33万3800円)であり、残りが法人向けの「Commercial Edition」(価格55万8000円)。このなかには、企業や個人の開発者のほかに、アプリ開発を目的にした学生が購入するケースもあるようだ。
既にHoloLensの開発者コミュニティーも大いに盛り上がっているという。HoloMagiciansと呼ばれるコミュニティーは、1月28日の福岡を皮切りに、東京、大阪、仙台で勉強会を開催。2月2日に開催される東京の勉強会では、自ら所有するHoloLensの持ち込みが前提のハンズオンイベントに、既に60人以上が参加を申し込んでいるほどだ。ちなみに、各地の勉強会には、日本マイクロソフトから、エバンジェリストの西脇資哲氏や高橋忍氏などが参加することが決まっている。
企業導入にも弾み、本社に体験コーナーも
JALの先進事例に続く形で、日本における企業導入にも弾みがついている。既に森精機がHoloLensの活用に向けた検討を開始している模様で、設置サービスや保守サービス、工作機械による製造シミュレーションなどに利用する考えだ。
「JALの取り組みが紹介されてきたことで、日本企業がHoloLensを身近なものとして捉えはじめている。今後、日本におけるHoloLensの活用にも弾みがつくだろう」(日本マイクロソフト デベロッパーエバンジェリズム統括本部テクニカルエバンジェリズム本部プリンシバルテクニカルエバンジェリストの高橋忍氏)
平野社長も、「待ちに待った日本での提供に、非常に興奮している。HoloLensによるMixed Realityの世界を体験できる機会も用意し、この世界を日本に広げていきたい」と力を込めた。
日本マイクロソフトは、サポート体制を構築して、HoloLensの日本での広がりを加速させる考えだ。エンタープライズサービス部門のデジタルアドバイザーの中にHoloLens専任者を配し、企業におけるHoloLens導入の支援体制を構築したほか、品川本社30階にHoloLens体験ルームを開設して、多くの人が体験できる環境を整えた。開発者向けセミナーも1月26日から開催。同じく30階のマイクロソフトテクノロジーセンター(MTC)でも、2月からHoloLensのセミナーを開催するとともに、今後はソリューション開発パートナーの採用活動も積極的に行っていくという。
平野社長は、「日本では、建設分野や製造業での関心が高い。さらに、ヘルスケア/医療、教育/トレーニング分野でもHoloLensが貢献できると考えている。日本では、HoloLensにこれだけ高い関心が集まっていることから、日本マイクロソフトとしてもサポート体制をさらに強化していく必要がある」とする。
体験した人それぞれがさまざまな活用法をイメージできるHoloLens。今後、日本でどのような興味深い事例が出てくるのかが楽しみだ。
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