運用管理のログデータ活用、期待高くも「まだやらず」――IDC調べ
IDCの調査によると、ITオペレーション分析ソフトウェアに対する国内企業の活用意向は高く、今後有望な市場になりつつあるということが分かった。
IDC Japanは1月23日、国内ITオペレーション分析ソフトウェアに関する市場動向の調査結果を発表した。
同社では、ITオペレーション分析ソフトウェアを、ログデータをはじめ、PCやサーバ、ネットワーク機器、アプリケーションなどさまざまなIT資産から生成される大量のマシンデータをビッグデータ技術によって分析することでIT環境のモニタリングと最適化を行うソフトウェアと定義。世界のITオペレーション分析ソフトウェア市場は2015年で14億2330万ドル、前年比37.8%増に成長しており、2020年には30億ドルに達すると予測している。
企業の大部分のITインフラストラクチャは仮想化され、クラウド環境はパブリッククラウドとプライベートクラウドのハイブリッド化が進む中、複雑化するIT運用管理を最適化していくためにITオペレーション分析ソフトウェアは非常に重要なソリューションになりつつあるというが、現時点でのITオペレーション分析ソフトウェア市場は、大部分が北米地域とヨーロッパ地域で占められており、国内市場はまだ非常に小さい規模であるとみている。
同社は、2016年9月に国内企業に対してIT運用管理におけるマシンデータの活用状況に関するユーザー調査を実施(回答企業数309社)。IT運用管理でマシンデータを分析し、常に活用していると回答した企業は11.7%、必要に応じて時々活用している企業は35.6%だったが、ITオペレーション分析ソフトウェアのような専用分析ツールの利用は少なく、従来のIT運用管理ソフトウェアの分析機能やExcelのような表計算ツールで分析している状況であると判明。また、マシンデータをほとんど活用できていないが、今後活用していきたいという企業は38.8%となった。
調査結果から同社は、マシンデータを時々活用している企業や今後活用していきたいという企業は大半を占めており、活用意向は高いと分析。こうした企業は、ITオペレーション分析ソフトウェアにとって今後、有望な市場機会になると指摘した。
ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は、「IT運用管理の現場では、システムの異常や障害の原因を発見して解決するために多くの時間を費やしている。ITオペレーション分析はそのような時間を大幅に短縮し、IT担当者が新たなITサービスの開発に費やす時間を確保するソリューションとなる」と解説し、以下のように提言している。
- ITインフラストラクチャの変化によって複雑化するIT運用管理を最適化するためにITオペレーション分析ソフトウェアは重要なソリューションになりつつある
- IT運用管理でマシンデータを分析して常に活用している企業は11.7%であるが、今後活用意向のある企業は多い
- ITオペレーション分析はIT担当者を運用から解放し、新たなITサービスの開発に費やす時間を確保するソリューションになる
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