「フリック操作で認証」のバンキングサービス、三井住友銀行が邦銀で初導入へ
スマホ画面のフリック操作でインターネットバンキング利用時の認証ができる仕組みを法人向けに提供する。
三井住友銀行は2月3日、スマートフォンを利用したインターネットバンキングの「ワンフリック認証サービス」を法人向けに導入すると発表した。日本総合研究所やNECと共同開発する。法人向けでは国内初といい、今春の提供開始を予定している。
新サービスは、マレーシアのFinTechベンチャー、e-Lock Corporation Sdn Bhdが持つ「ON/OFF技術」をベースに開発する。インターネットバンキングの各種サービスについて利用の可否をユーザーがスマートフォンの画面から「ON/OFF」操作する。例えば、スマホで「OFF」設定にしておくことで、PCからの振り込み処理を禁止するといったことが可能になり、フィッシング詐欺やマルウェアによる不正送金被害などを防止できるという。
同行は、これまで法人向けインターネットバンキングでICカード認証やワンタイムパスワード認証などを導入し、セキュリティの脅威に向けた対策を講じてきたと説明。新サービスの導入でさらなる被害の抑止を図りたい考え。
警察庁が半年ごとに公表しているインターネットバンキングの不正送金の状況によると、2016年上半期の法人被害額は約1億9200万円で、2015年下半期の約9億5800万円からから大きく減少した。一方、個人の被害額は2015年下半期の約5億7200万円から2016年上半期は約7億6900万円に増加した。
3社は、同サービスの活用の可能性を探りつつ、利便性に配慮した金融サービスでのセキュリティ強化に努めると表明している。なお、e-Lockの「ON/OFF技術」は日本とオーストラリア、シンガポールで取得済みの特許だという。
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