「Tableau」と「Redshift」を導入、ココカラファインの狙いとは?:ビッグデータで“おもてなし”(3/3 ページ)
「ドラッグストアなんて、どこも似たようなものじゃないの?」 差別化が難しい業界において、データ活用で活路を探るココカラファイン。プライベートDMPやセルフサービスBI導入の目的は個客単位でのおもてなしにあるという。
システムはスモールスタートを重視、「まずやってみる」の精神で
もともと“IT畑”出身ではない郡司氏がどのように分析基盤を選んだのか。他社のさまざまなプロジェクト担当者に会い、事例を聞いていくうちに、「同じくオムニチャネル施策を進める元無印良品の濱野氏の話が非常に参考になった」という。そして、初期投資が安く、スモールスタートで始められるAmazon Redshift、Tresure Dataをベースにしたデータ基盤、そしてユーザーが多く、コミュニティーが充実しているTableauを選ぶに至った。
「当社のようなビジネスにおいては、POSのような業務に欠かせないシステムであれば、ある程度の投資ができますが、マーケティング的な要素においては、あまり大規模な投資はできません。なので、初期投資が小さく早く始められるシステムが都合がいいと考えました」(郡司氏)
最近では、データ分析を行う人材の募集にも力を入れているという。メンバーの選び方にも郡司氏の考えが見て取れる。
「データ分析だからといって、数学や統計学に長けている必要はなく、ビジネスが分かっていることが最も大切です。今進めているプロジェクトでは、数字に強い人、店頭にいた人、元ITベンダーで最近転職してきた人など、多様性を大切にしながら、地頭の良いメンバーを選ぶようにしています。地頭が良く、好奇心や向上心があるメンバーを慎重に選抜することが成功するポイントでしょう」(郡司氏)
ココカラファインでは、IT開発部門が店頭に在庫管理用のAndroid端末を導入して、売上や納期に基づいた発注をコントロールして、より効率的なオペレーションを実現し、欠品率を10%以上削減したという事例もある。IT化やデータ分析の成果は徐々に出てきているようだ。
「個人的には、新しい取組みについてはまずは“やってみる”、次に“何が分かったか理解する”、そして“次は何をすべきなのかを考える”、“メリットは何かを明確にする”と展開することを心掛けています。PDCAという言葉だけが先行してしまうと、計画することが目的化してしまい、きれいな計画ができたことに満足して、実行しないまま終わってしまいがちです。
なので、まずはやってみる。そのためには、何かしらの計画も必要になるので“やってみる”というのが非常に重要なステップです。何が分かったか理解するには、データという客観的な事実に基づいて理解します。勘や経験ではなく、データを理解することが何より大切なのです。データを理解することで、結果としてPDCAが回るということになります」(郡司氏)
データがビジネスを作り、ブランドを作る
差別化が難しいドラッグストア業界で、どう生き残るか。「薬や化粧品、雑貨、日用品であれば、何でも売っているので来てください」だけでは、今まで以上に売れることはない――。郡司氏は次のように話す。
「データをフル活用して、顧客を個客として扱う、つまり来店したお客さまに対して、データを使ったOne to Oneのおもてなしをすることが最終的な目標です。先ほど話したデータ活用担当のメンバーが計画の成功を左右していると言っても過言ではないでしょう。『友達以上、医者未満』なのはココカラファイン ヘルスケアである、というブランドを作ることが重要で、データを使って自社のブランディングをするといっても良いと思います」
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