IBM、音声でセキュリティ対策を実行する研究プロジェクトを発足
AI技術「Watson」を利用して、“人海戦術”に依存しているセキュリティ脅威の分析作業を大幅に氏省力化させる。音声チャットでセキュリティ対策を実行できることを目指すプロジェクトも立ち上げた。
IBMは米国時間2月13日、拡張知能(Augmented Intelligence)技術を用いるセキュリティ対策機能「Watson for Cyber Security」をリリースした。併せて音声チャットでセキュリティ対策を実行するための研究プロジェクト「Havyn」を立ち上げたと発表した。
Watson for Cyber Securityは、同社の拡張知能技術「Watson」をサイバーセキュリティ向けに利用し、膨大なセキュリティ関連データの分析を通じてサイバー攻撃などの脅威に関する情報や対策のための洞察を提供する。同社では「Watson」がセキュリティ関連データを理解できるようにするために、100万本以上の研究論文を学習させたという。
新機能はセキュリティ監視センター(SOC)向けに提供され、セキュリティイベント・ログ分析ツールの「IBM QRadar Advisor with Watson」と連携する。これにより、SOCのセキュリティ研究者やエンジニアが数日間から数週間を要していたサイバー攻撃調査などの作業を数分程度に短縮できるとしている。
「Havyn」プロジェクトでは、WatsonのチャットボットやAPI、クラウドサービスを利用して、セキュリティ研究者が口頭で出した命令や要求に、リアルタイムに応答できることを目指す。例えば、新たに出現した脅威に関する最新情報や、推奨される修復処理などをセキュリティ研究者に提示することが可能になる。同社では「セキュリティ研究者とさまざまなトピックについて対話できる音声機能が搭載されたセキュリティアシスタントを作成する」とコメントしている。
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