三井住友銀行、パブリッククラウドでデリバティブ信用リスクの計測システムを構築
大量の計算に必要なシステムリソースを柔軟に調達できるパブリッククラウドを活用し、リスク管理の高度化を図り、安定した銀行ビジネスの展開を目指す。
三井住友銀行(SMBC)と日本総合研究所(日本総研)は3月2日、デリバティブ(金融派生商品)信用リスク計測システムを、日本IBMのパブリッククラウド「IBM Bluemix Infrastructure」を用いて構築すると発表した。
デリバティブ取引は、顧客へのソリューション提供、銀行の効率的な資金運用・調達やリスク管理など、活用範囲が広範にわたる。一方、2008年の世界的金融危機の際には取引相手先の信用力悪化によって金融機関に多額の損失が発生した。こうした教訓から信用リスクの管理強化は国際的にも求められているとしているとのこと。
デリバティブ取引の信用リスク管理の前提となるリスク量を計測するには、最先端の金融工学を駆使して、金融市場動向の予測シナリオに基づくシミュレーション計算を繰り返し、取引完了時までに発生し得る損失を見積もる必要があるという。
今回、構築するシステムでは、高度な計算モデルを組み込み、大量の計算に必要なシステムリソースを適切に確保するために「必要な時に必要なだけ」柔軟に調達できるパブリッククラウドを採用したという。また従来のような自社センターを利用する場合に比べ、システムの構築や維持に掛かるコストの削減を見込む。
なおSMBCでは、今後もITを活用してリスク管理の高度化を図り、安定した銀行ビジネスの展開を推進していく構え。日本総研は、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)におけるIT化を支援・提供し、システム資源の効率的な運営やグループ一体での顧客サービスの向上を図るとしている。
信用リスクなどのシミュレーション計算は、外部環境の変化に応じて、取り扱うシナリオの数やデータ量が激増することが多い。こうした変化が起きても一定のスピードで計算を実施するには、パブリッククラウドのようにリソース調達が柔軟な環境が望ましい。金融以外の業種でも同様の課題を抱えたユーザーは多く、今後、セキュリティを担保しつつこれに応えるクラウドサービスが増加していくと思われる。
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