国産PaaSが世界に羽ばたくための2つの要件:Weekly Memo(1/2 ページ)
国産PaaSは世界に大きく羽ばたけるか。挑んでいるのは、グループウェア国内最大手のサイボウズが展開する「kintone」だ。その要件とは何か。
「kintone」がGartnerのMQ評価でベスト16入り
「GartnerのaPaaS市場における『マジック・クアドラント(MQ)』2016年版で、サイボウズは日本企業として唯一、世界のベスト16に入った。上位には名だたるグローバル企業がひしめいているが、追い付けるようにがんばっていきたい」
サイボウズの青野慶久社長は、同社が先頃開いた事業戦略説明会でこう力を込めて語った。マジック・クアドラントはGartnerが個別の製品・サービス市場において競合するベンダーの勢力図を表したもので、業務アプリケーション開発基盤のクラウドサービスを指すaPaaS市場では、Salesforce.comとMicrosoftを2016年におけるリーダーと評価している。
aPaaS市場のマジック・クアドラントは一般公開されていないので図示することはできないが、2016年版では16社が取り上げられ、その勢力争いでは上記の2社をIBM、SAP、Oracleなどが追いかけている構図となっている。サイボウズがその16社の一角に名を連ねたのは、同社の「kintone」がグローバル市場で存在感を示しつつあることの証しといえる。
筆者はkintoneが登場して5年間、国産PaaSによるグローバル市場への挑戦に注目してきた。青野氏のその挑戦に向けた強い思いについては、本コラムでも2013年7月22日掲載の「国産PaaSの挑戦」および2014年2月24日掲載の「国産PaaSが挑むグローバル展開の勝負どころ」で紹介してきたが、今回の会見ではその進ちょく状況について次のような説明があった。
まずはkintoneの話の前提として、サイボウズは既にクラウド事業がメインになってきていることを特筆しておきたい。青野氏によると、2016年3月期のクラウド事業の売上高は前期比49.2%増の40億5000万円で、全売上高80億3900万円(前期比14.6%増)のうち5割を超えた。さらに、2017年3月期にはこのクラウド比率が6割を超える見通しだ。経常利益も2016年3月期で5億8700万円(前期は3億3800万円の赤字)、2017年3月期予想でも3億3900万円としており、クラウド事業をストックビジネスとしてコントロールできつつあるようだ。同社は見事に体質転換を図ったといえる。(図1参照)
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