コレ1枚で分かる「SDI」(改訂版):即席!3分で分かるITトレンド(1/2 ページ)
ソフトウェアによる制御で柔軟で効率的な運用・管理を実現する「SDI(Software-Defined Infrastructure)」。その特徴やIT資源としての運用手法などについて解説します。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
SDIでビジネス変化に即応
道路や鉄道、電気や電話、病院や学校など、私たちの生活や社会を維持する基盤を、インフラストラクチャ(インフラ)と呼びます。さまざまなテクノロジーが、プログラムの実行やデータを処理するサーバ、データを保管するストレージ、通信を担うネットワーク機器やネットワーク回線、これらを設置するデータセンターなどの「ITインフラ」に支えられています。
ITインフラは、従来、必要に応じて個別に調達・構築するものでした。しかし、このやり方では、変化の激しくなった市場に即応することはできません。また、不確実なビジネスの先行きを見通すことも難しく、必要となる機能や規模を予測することも困難です。
ITの需要が衰えることはありません。一方で、需要が読めないままのITインフラの調達・構築は、これまでになく大きなリスクを伴うようになりました。
この状況を打破する技術として「仮想化」が注目されています。仮想化とは、あらかじめ標準的な構成のハードウェアを用意しておき、そこから必要となるシステム資源、すなわちCPUの処理能力、ストレージの容量、ネットワークの機能などをWeb画面やコマンドラインから指定するだけで自由に構成し、調達や構成変更ができるようになるソフトウェア技術のことです。
インフラを構成する全てのハードウェアに「仮想化」の技術に加え、運用・管理や構築を自動化してくれるソフトウェアを組み合わせれば、以下のようなことが可能になります。
- 調達に際して、「CPUの個数」や「ネットワークの回線数」といった物理的要件ではなく、「トランザクション処理能力」や「セキュリティレベル」「ネットワークのサービスレベル」といったポリシーを指定することで、必要な機能や性能を割り当ててくれる
- インフラの監視や運用管理を自動化できる
このように「ソフトウェアでシステム構成を調達、設定、管理できるインフラ」を「SDI(Software-Defined Infrastructure)」と呼びます。
SDIを使えば、サーバ、ストレージ、ネットワークのハードウェア、それ設置する設備、安定して稼働させるための運用管理の人的負担を減らし、必要なときに必要な機能や性能を使えるようになります。これにより、ITインフラの調達や構築に掛かる時間は大幅に削減され、変更にも即応できるようになるのです。
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