コレ1枚で分かる「HTML5(2) マルチデバイス時代のアプリケーションプラットフォーム」:即席!3分で分かるITトレンド(2/2 ページ)
HTML5によって、マルチデバイス時代のアプリケーションプラットフォームとして進化しつつあるWebブラウザ。その背景には、Ajaxの登場やHTMLの進化、Web標準化などの流れがあります。前回から2回に分けてその歴史を総ざらい。この「HTML5(2)」では、HTML標準化とHTML5の登場について解説します。
広義のHTML5と狭義のHTML5
2014年10月、HTML5は、15年の歳月を経て新しいバージョンとして、W3Cより正式に勧告されました。
このHTML5には、狭義と広義の意味があります。狭義には、Webの標準化団体「W3C(World Wide Web Consortium)」が規格を策定した次世代のマークアップ言語そのものを指しています。ブラウザで表示する内容の構成やレイアウトの指定、動画や音声、2次元グラフィックスの取り扱いなどを定めています。
広義には、これに加えて、ネットワークに接続されていないときにもデータを加工・編集するためのオフラインストレージ、スマートフォンなどのハードウェアに内蔵されるGPSやセンサーをブラウザで扱うためのデバイス連携、豊かな表現を実現する3次元グラフィックスなど、ブラウザ上で高度で複雑なアプリケーションを動かすための機能の扱いまで含めています。つまり、次世代のアプリケーションプラットフォームを実現するための方法や手順を標準化したものといえます。
広義の意味でのHTML5には、従来プラグインで実現していた機能の多くが含まれています。HTML5のゴールの1つはここにありました。言い換えれば、特定のメーカーが提供する技術に頼るのではなく、誰もが自由に利用できるオープンな標準として実現することです。
実際、2007年に登場したAppleのiPhoneはAdobeのFlash(当時のWebにおける動画や音声を利用するための事実上の標準となっていたプラグイン)をサポートしないという発表があり、Flashがオープンではないという課題が露呈しました。
その後、iPhoneやiPadが広く使われるようになり、HTML5による動画や音声の配信が一気に普及したのです。
現在では、Webだけでなく、スマートフォン向けアプリケーションや企業向けシステムなどの開発にも利用されるようになり、マルチデバイス時代のアプリケーションプラットフォームとして普及しつつあります。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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