ワークスタイル変革は“イノベーションの武器”、成功の秘訣は:ワークスタイル変革セミナーリポート(前編)(3/3 ページ)
ワークスタイル変革の目的は、多彩な人材の維持・獲得を目指し、イノベーションの創出につなげること――。そんな“イノベーションの武器”としてのワークスタイル変革を起こすために必要なのは何なのか。
モバイルで働き方を変える4つのポイント――マクニカ
モバイルを活用してワークスタイル変革を実現するための秘訣(ひけつ)は何か――。マクニカネットワークスのクラウドモバイルエバンジェリスト、小田切悠将氏は、「ニッチな商材が強み」という同社ならではの視点から、「1にクラウドの利用、2に自社開発(In-House)アプリの導入、3にユーザーへの権限付与、4にマルチOSのサポート」という4つを示した。
モバイル活用の進展とクラウドは切っても切り離せない関係にある。PCの持ち出しを禁じていた企業でも、iPhoneやiPadを機にモバイルを解禁したところは多いだろう。そこで問題となるのが、「セキュアにクラウドを利用できるか」ということ。あわせて、「セキュアに社内ネットワークに接続できるか」という点だ。
一方、「自社開発アプリ」利用の波も、「日本のモバイル市場に浸透しつつある」(小田切氏)という。小田切氏によれば、米国では、営業や製造などIT以外の部門が予算や開発リソースを持って現場の声を吸い上げたアプリを自社開発しているという。モバイルの活用をさらに加速させるには、企業に「PC時代とは異なる新たな発想が求められる」という。それが「ユーザーへの権限付与」だ。
「ある製造業では、クライアントとのコミュニケーション用にLINEで仕事用のアカウントを持つことを認めている。誰もがプライベートでスマートデバイスを使いこなし、生産性向上に寄与するツールもApp Storeなどから簡単にダウンロードできる今、セキュリティを保護しつつ、ある程度は個人の判断で自由に使わせることがスマートデバイス導入の費用対効果を高める」と小田切氏は語る。
マルチOS管理の実践でTCO削減効果にも期待
マルチOS管理も、今後のモバイル導入で留意すべきポイントだ。iOSやAndroidに加え、Windows 10やmacOSデバイスのモバイル利用も増えつつある現状を考慮すれば、統一した管理ツールによってもたらされるTCO削減効果は無視できない。
モバイル活用におけるこれらの課題に対するソリューションとして、マクニカネットワークスが提唱する「MobileIron」は、デバイス管理(MDM)、アプリケーション管理(MAM)、コンテンツ管理(MCM)に加え、運用管理の利便性も兼ね備えたEMM(Enterprise Mobility Management)に分類される製品だ。
世界で1万3000社以上、グローバルトップ2000社のうち400社以上に採用されており、数千人単位でのアプリ一括配信やキッティングを効率的に行えるという。
宮田氏は、主要EMMベンダーやアプリベンダーが協力してアプリ登録の簡便化を目指す「AppConfig Community」について触れ、デモを締めくくった。
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