IBM Bluemix、マイクロサービス開発向けの機能拡充へ:マルチクラウドの一括管理ソリューションも発表
日本IBMは、「IBM Bluemix」上でマイクロサービスの開発、運用を支援するフレームワーク「オープン・ツールチェーン」の機能拡充を進め、マルチクラウドなどのシステムインフラ環境を一元管理する「IBM Cloud Automation Manager」の提供を開始。クラウドネイティブアプリケーションの開発・運用を支援する。
日本アイ・ビー・エム(IBM)は4月6日、マイクロサービスの設計から開発、運用に至るシステム開発の全ての工程を「IBM Bluemix」上で包括的に支援するフレームワーク「オープン・ツールチェーン」の機能拡充を進めていること、また、マルチクラウドやオンプレミスといった多様なシステムインフラ環境を一元的に管理できる「IBM Cloud Automation Manager」の提供を同日に開始することを発表した。
昨今、経営環境の急激な変化への対応をはじめ、稼働するワークロードや取り扱うデータの種類に応じて複数のアプリケーションとコンピューティング環境を適合させたり、開発単位や期間の短縮を可能にしたりするなど、小さなサービスを組み合わせてシステムを構築する「マイクロサービス」という設計手法が注目されている。
オープン・ツールチェーンは、クラウドネイティブアプリケーションのコンセプト検討、開発、テスト、デプロイ、運用の全ての行程で求められる業務を支援する包括的なフレームワークだ。IBMのツールに加え、業界で広く使用されるツールを組み込み、それぞれが連携しながら一貫して操作できる基盤を提供する。
また、IBMが考案したアプリケーション開発手法である「IBM Bluemix Garage Method」に対応したツールがプリセットされたテンプレートを提供。これにより、開発者が普段使い慣れたツールを組み合わせられる自由度の高い開発体制の整備、開発チームごとのプロジェクト管理と複数チームによる大規模なクラウドネイティブアプリケーション開発、各種ツールの連携による開発ワークフローの自動化、可視化とガバナンスの向上を実現できるとしている。
一方、IBM Cloud Automation Managerは、アプリケーションをさまざまなインフラで利用するためのデプロイと運用管理を支援するもので、Bluemixのサービス(無料)およびオンプレミス向け製品として提供する。IBMのクラウドサービスに加え、他社が提供するクラウドやオンプレミスなどのシステム環境を問わず、一貫した操作性でさまざまなインフラへの環境構築とITプロセスを自動化する。
また、IBMやパートナーがデプロイに必要なテンプレートを提供するため、さまざまな要件に容易に対応できるという。
なお、同社は2017年2月にクラウドとコグニティブシステムを組み合わせたソリューションを提案する専任組織を立ち上げており、今回の新しいクラウドサービスの提供と合わせて、クラウドネイティブアプリケーションの迅速な開発・運用の支援を通じて、企業の競争力強化を推進していくとしている。
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