「誰にでも使えるAI」のインパクト:Microsoft Focus(2/2 ページ)
「みんなのAI」といった表現を使い、“AIの民主化”を進めるというMicrosoft。そこには多くの人が利用できる、より身近なAIの実現を目指す同社の姿が見て取れる。
機械翻訳で日本語をサポート
そして機械翻訳においては、テキスト翻訳および音声翻訳の双方が可能な10番目のサポート言語として、4月7日に日本語を追加。Microsoft Translatorアプリや、Skype Translatorなど、 Microsoft Translatorを活用したすべてのアプリとサービスで日本語が利用できるようになった。
Microsoft Translatorライブ機能を活用することで、自分のデバイスやブラウザ上で、対面型のリアルタイム翻訳が可能になる。日本語を話す人たちが、すでにサポートされているアラビア語、中国語(北京語)、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語の9言語を話す人たちと、直接対話ができる世界が実現したわけだ。
そのほか、「Skype for Windows」と「Skype Preview for Windows 10」で提供されたSkype Translatorの機能により、他のSkypeユーザーとリアルタイム翻訳を活用した対話も可能だ。さらに、新たにリリースした「Microsoft Translator PowerPointアドイン」(プレビュー版)では、PowerPointからTranslatorのライブ機能を直接使用することで、リアルタイムでプレゼンテーションに字幕を付けることも可能になっている。
Microsoft Translatorも、「みんなのAI」を実現する取り組みの1つであり、Azureで提供されるCognitive Services APIファミリーであるMicrosoft Translator APIを、アプリやサービスに統合できるようになっている。
そして、こうしたAIの民主化を支えているのが、Azureということになるが、ここでは、すべてのノードでFPGA(Field-Programmable Gate Array)を採用。これまでのCPU+GPUの組み合わせに、プログラムが可能なFPGAを加えることで、クラウド上でも圧倒的なパワーを活用した処理が可能になる。
これはMicrosoft社内では、「Project Catapult」と呼ばれていた取り組みの1つだ。その成果として、2016年9月に米国で開催されたMicrosoft Igniteにおける米Microsoftのサティア・ナデラCEOによる基調講演では、ロシア語から英語への翻訳をデモストレーション。ロシア語で書かれた1440ページのトルストイの「戦争と平和」を英訳する際に、CPUサーバだけで翻訳した場合には19.9秒かかったのに対して、FPGAが搭載されたサーバでは、2.6秒で翻訳を完了させてみせた。
こうしたインフラへの投資が、AI技術の進化とともに、誰もが活用できるAIの民主化に大きく貢献しているのは明らかだ。
Microsoftでは、「我々が飛び込もうとしているのは、より多くの人々のために、より多くの興味深い方法で、コンピュータの機能を活用できる時代である」とし、「AIの民主化」の方向性を示してみせる。
AIの進化とともに、AIの民主化を並行してい推進しているのが、マイクロソフトのAI戦略なのだ。
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