富士通ら、IoT活用で異常検知と対応指示の自動配信を行うビル設備監視システムを構築
富士通、大成、スタディストの3社は、IoTを活用し、設備の異常を検知して作業指示マニュアルを自動配信するビル設備監視システムを構築。実証実験で有効性を実証した。ビルメンテナンス業務の効率化とサービス品質の向上を目指す。
富士通、大成、スタディストの3社は5月10日、各社の技術やノウハウを連携させ、IoTを活用してビル設備の異常検知と、状況に応じた作業指示マニュアルの自動配信を行う、ビル設備監視システムを構築したと発表した。
ビルメンテナンスの現場では、設備不具合の予兆を速やかに検知し、確実に復旧させることが重要だが、IoTを活用した既存のビル設備監視システムの多くは、設備異常の検知とメールでの自動通知までしかできないものが多い。これらに加えて、豊富なノウハウを有する熟練作業者が不足していることも課題となっていることから、対応者のスキルに規定されることなく、迅速な復旧を実現するシステムのニーズが高まっている。
この状況を受け、同システムは、富士通のセンサーデバイスとクラウド型のIoTデータ活用基盤サービス「FUJITSU Cloud Service K5 IoT Platform」(以下、K5 IoT Platform)、大成のビルメンテナンス業務に関するノウハウ、スタディストのクラウド型マニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz」を連携させて構築された。
さらに、郵船不動産の協力の下、2016年10月13日から2017年3月31日まで、東京都千代田区の「郵船ビルディング」で同システムの実証実験を実施し、有効性を確認したという。
実証実験では、郵船ビルディング内の空調設備にセンサーデバイスを設置して空調設備の温度、加速度(振動)などを計測し、IoTシステムで必要となるデータを収集・蓄積するためのクラウド基盤「K5 IoT Platform」に計測結果を集約。設備の故障やその予兆を検知する条件を、大成のビルメンテナンスのノウハウに基づいて設定しておき、集約されたデータの中でその条件に当てはまる異常値を検出した。
異常検知後は、該当設備の異常内容に応じたマニュアルを、設備管理者や現場作業員に自動配信することで、速やかに対応できるようにした。マニュアルは、「Teachme Biz」を活用し、動画や画像を活用するなど、熟練度が不十分な作業者にも分かりやすい形式で設備異常の状態に適合した点検手順や故障時の対応方法に関するものを事前に作成した。
3社は今後、ビルメンテナンス業務における効率化とサービス品質の向上に向けて、共同で同システムの製品化を進め、2018年中に大成のサービスの一部として提供を開始することを目指しているという。また、より多くの実証データを取得し、システムの機能改善につなげるため、2017年4月25日から大成の本社ビルをはじめ複数のビルで同様の実証実験を開始している。
関連記事
- 富士通、千葉市でブロックチェーンを活用した地域スタンプラリーの実証実験を開始
富士通が、ブロックチェーン技術を活用した地域スタンプラリーの実証実験を千葉市で実施。千葉県が舞台のライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(俺ガイル)』とのコラボレーションで、地方創生を推進する。 - 東京金融取引所と富士通、AI技術で市場監視業務の精度向上に向けた共同検討
東京金融取引所は、富士通のAI技術「アノマリ検知技術」を活用した異常取引の自動検知について検討。取引の透明性や公正性を確保し、安定した市場の維持を目指す。 - 鳥取県、富士通のIoTサービス「ユビキタスウェア」を採用、県内企業の工場で実証開始
鳥取県が「戦略産業雇用創造プロジェクト」の一環として、富士通の「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE(ユビキタスウェア)」を採用。IoTの普及促進を目指し、県内企業の現場で実証を行う。 - デジタル革新の取り組みの34%に具体的な成果、世界のビジネスリーダーが回答――富士通調査
富士通が行った「グローバル・デジタル革新調査」によると、世界のビジネスリーダーの89%がAIやIoTなどのデジタル技術によるデジタル革新に取り組んでおり、取り組みのうち34%が売上向上などの具体的な成果を挙げていることが分かった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.