HPE、160Tバイトの単一メモリを搭載した「The Machine」のプロトタイプを実証
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)は、160Tバイトの不揮発性メモリを搭載した「The Machine」のプロトタイプで「メモリ主導型コンピューティング」の可能性を実証。将来的には最大4096YB(ヨタバイト)にまで拡張可能との予想も。
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)は5月16日(米国時間)、「メモリ主導型コンピューティング」の実用化を目指す「The Machine」研究開発プロジェクトの最新成果として、世界最大となる160Tバイトの単一メモリ空間を持つコンピュータの実証実験に成功したと発表した。
HPEがビッグデータ時代に向けた次世代アーキテクチャとして位置付けるメモリ主導型コンピューティングでは、CPUではなく、不揮発性のユニバーサルメモリを中心に据え、この巨大なメモリプールにシステムオンチップ(SoC)がフォトニクス技術でアクセスする。単一のメモリプールに複数のCPU、DSP、SoCなどが超高速にアクセスし、処理を実行できるため、性能が飛躍的に向上。例えば複雑な問題の処理に必要な時間は数日から数時間に、数時間を数分に、数分を数秒に短縮し、分析結果をリアルタイムに提供できるようになるという。
今回の実証実験では、160Tバイトの単一メモリを搭載したThe Machineのプロトタイプが使われた。160Tバイトのメモリは、例えば米国会図書館の全蔵書の5倍にあたる約1億6000万冊分のデータを同時に処理できる容量。実証の結果、160Tバイトのメモリを、高速なファブリックプロトコルで相互接続された40個の物理ノードで共有し、動作することを確認。
プロトタイプのOSはLinuxベースで、ARMv8-Aのワークロードに最適化されたCavium社のSoC「ThunderX2 ARM Processors」を使用。また、新たなX1フォトニクスモジュールを含むフォトニクス光通信リンクが利用できる。膨大な不揮発性メモリを活用するためのソフトウェアプログラミングツールも装備する。
HPEでは、今回の実証実験を受け、最大4096YB(ヨタバイト※)の単一メモリシステムにまで拡張可能と予想。この規模は今日の宇宙全体に存在するデジタルデータ総量の25万倍にあたり、この規模メモリを活用できれば、例えば地球上の全ての人々の電子カルテ、Facebookの全データ、Googleの自動運転車全ての運転情報、宇宙探索から得られた全データを同時に処理することができ、前例のないスピードで回答を得ることができるとしている。
※ヨタバイト……ギガバイト、テラバイト、ペタバイト、エクサバイト、ゼタバイト……と1000倍ごとに変わる単位で、ゼタバイトの次に定められた単位。ヨタは10の24乗を意味する
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