企業を超えたデータ連携、どう進めればいい? SBIホールディングスに学ぶ:グループ30社の“ハブ”に(3/3 ページ)
Webサイトにおける行動分析……というと多くの事例が出ているが、30以上の会社が相互に連携していたとしたらどうだろう。金融サービス大手の「SBIホールディングス」では、グループ各社の連携と全体最適を一手に担う部署がある。
企業がデータ活用を進めるために必要な3つのポイント
古くからデータ活用を行ってきたSBIホールディングスだが、最近の技術革新は目を見張るものがあるという。佐藤氏はクラウドの発展がその大きな要因だと話す。
分析のために用意できるコンピューティングリソースに限界がなくなり、数日間かかっていた処理が数分で終わるということも珍しくなくなった。アルゴリズム自体に大きな変化はないものの、トライ&エラーを素早く繰り返せることで、分析の精度は大きく高まったという。データ分析にかかるコストも下がり、多くの企業が気軽に手を出せる環境になりつつある。
佐藤氏は、そのような状況下で企業がデータ分析を成功させるために必須な要件を3つ挙げる。まずは「とにかくデータを蓄積する」ことだ。「ストレージの値段も下がってきているため、DWHでもHadoopでも何でもいいので蓄積することから始めるといいと思います。なるべく集める先は1カ所にして、皆が同じデータを見られるようにするのがポイントです」(佐藤氏)
2つ目は「データ管理の人材を育成する」こと。特に若手の育成がカギになるという。「データは無機質なものかもしれませんが、データと向き合っていろいろといじっているうちに何か気付くことがあります。できるだけ社内外のデータに触れさせ、データから仮説やサービスを生み出せるようにすることが大切です」(佐藤氏)
最後のポイントは「オープンイノベーションを最優先にする」こと。社内でも社外でも、人と協働することが重要だ。「さまざまな立場の人や組織やデータと協働することで、イノベーションが生まれると思います。それを目指すとか、あったらいいという程度のスタンスではなく、最優先事項にすること。新しいサービスや仮説を生み出すためには必要なことだと思います」(佐藤氏)
なりすましによる不正送金の防止や、データドリブンな与信モデルの構築、AIを活用したデジタルマーケティングなど、先進的なIT活用の裏には、それを促進させるためのシステムが必要だ。あなたの会社には、データ活用の“ハブ”となるような人物や組織はあるだろうか?
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