伝わる対話の約7割が“言葉より雰囲気” 伝え上手がやっていること:ITエンジニアのための開発現場で役立つ心理学(2/2 ページ)
言葉以外の「非言語メッセージ」は、二者間の対話で65%を占めるとの実験結果も。意図せず誤解を与えてしまわないためのコミュニケーション法とは?
非言語メッセージが不足している
最近、私たちの生活では、対面のコミュニケーションより、メールやSNSなど非対面によるコミュニケーションが多くなっている。システム開発の現場でも、メールやグループウェアなどが利用されている。この非対面によるコミュニケーションでも、非言語に関する問題が起こっている。
メールによるコミュニケーションを考えてみよう。メールを使うことで、文字による情報、つまり言語メッセージを相手に伝えることができる。しかし、文字情報だけでは非言語メッセージを読み取ることができない。先にも書いたように、人は非言語メッセージから相手の意図をくみ取ろうとする。そのため、メールに書かれた内容だけでは真意がくみ取れず、混乱してしまう場合があるのだ。
例えば、企画書を提出した後、上司から
企画書を見たけど、あれじゃ企画は通らないね。
とメールが送られてきたら、上司の意図をどのようにくみ取るだろうか。
上司が普段から優しい人であれば、「親切心」と解釈できるかもしれない。一方、普段から怒ってばかりいる人であれば、「怒り」と解釈できるかもしれない。その場にいない上司の表情や口調が分からないため、真意が分からず、どのような行動を取るべきか判断に迷ってしまう。親切心から言ってくれているのであれば、企画書の見直しを始めればいいし、怒りから言っているのであれば、おわびすることから始めなければならない。メールによる言語メッセージだけでは、混乱してしまうのだ。
非言語メッセージを補強する方法
このように、非言語が不足したコミュニケーションでは非言語メッセージをくみ取ろうとして、歪曲(わいきょく)して理解してしまったり、都合よく理解してしまったり、相手の真意とは異なる解釈をしてしまうことが起こってしまう。それを避けるために、メールやSNSを使用するときも、非言語メッセージを埋め込もう。そうすることで真意を伝えることが可能になる。
では、どのように、メールやSNSで非言語メッセージを埋め込めばよいだろうか。
1つは絵文字やスタンプなどを使う方法だ。例えば、
残念です
のように書くと、ネガティブな気持ちだけが相手に伝わってしまうが、
残念です(T_T)
のように書くと、ネガティブではあるものの、相手を攻撃する意図がないことも伝えることができる。
また、周辺情報を伝えるという方法もある。メールであれば、本文の前か後に、本文とは関係のない雑談を書くのだ。例えば、
昨日、○○というテレビドラマを見ましたが、嫌な上司をギャフンと言わせるシーンが痛快でした
快適な気候になってきましたね。近々、一緒に川でバーベキューしましょう!
といった情報を伝えることで、温かい体温を感じ取ることができるはずだ。
普段、非言語メッセージについて意識することは少ない。しかし、注意をしていないと、意図していないメッセージを伝えてしまう。しかも、言葉以上の強さで伝わってしまう。あとで言い訳をしても取り返しが付かない。だから、意識して非言語メッセージを発信することが重要なのだ。
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