脱Accessで作業速度が5倍――ネット専業「じぶん銀行」のデータ活用法とは?(3/3 ページ)
スマートフォンでATMを利用できるようにするなど、インターネット銀行ならではの施策を次々と打ち出している「じぶん銀行」。同行が今、目指しているのはDWHを活用した「1to1マーケティング」だという。
ユーザーの“相棒”を目指して
こうしたデータ統合により、2017年3月にCRM基盤が整ったという。その先にあるのは、ユーザーの利用形態に合わせたサービスやメッセージの最適なタイミングでの提供だ。
じぶん銀行は2016年6月から、ユーザーエクスペリエンスの向上施策「じぶん仕様プロジェクト」を始めており、アプリケーションのリニューアルなどを行っている。お金の動きや予定を知らせるタイムライン機能やアンケート機能を付加し、よりユーザーの生活に寄り添うツールを目指しているという。
「ようやく仕組みが整ったので、本格的なデータ活用はこれからです。各商品を扱う部署とも連携しながら、ユーザーに最適なタイミングで情報やサービスのオススメができればと思っています。どのレベルでパーソナライズさせるかといったところもこれからですね」(井上さん)
各商品の担当者とは異なり、井上さんと冨加見さんのミッションは、サービス利用というよりも、アプリも含めたじぶん銀行全体の利用率を高める点にある。どうすれば、各ユーザーにじぶん銀行をより身近に思ってもらえるのか。スケールが大きい話だけに、難しいPDCAが待っているだろう。
「銀行側からレコメンドをするだけではなく、ユーザーにどうしたら興味を持ってもらえるか、ユーザー側から当行に対して何かアクションを起こしてもらえないかということを考えています。アンケートなどの機能もその一環です。『意外に面白いことやってる』だとか『便利だよね』だとかと思ってもらえて、ゆくゆくはユーザーの“相棒”のような存在になる。それが他行との差別化につながるのではないでしょうか」(井上さん)
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