Facebook、“交渉する”botをオープンソースで公開
Facebookが、人間のような戦術を使いながら目的のために相手と交渉するbotを開発したとして、そのコードをオープンソースで公開した。
米Facebookの人工知能研究機関Facebook AI Research(FAIR)は6月15日(現地時間)、英語で交渉する能力を持つbot(ダイアローグエージェント)を開発したとして、論文を発表し、そのコードをGitHubでオープンソースで公開した。
交渉は、テレビのチャンネル争いや値引き交渉など、人間は日常的に行っていることだが、2者が同時に目的を定め、それを言語を使って実現するという、AIにとっては非常に複雑な行為だ。botでこれを実現するには、長期的な目的を理解させ、それを達成するための、協調的/敵対的な発話を可能にしなければならない。
FAIRはまず、人間同士の交渉データで「教師あり学習」をさせて交渉のための言葉を学ばせ、次に多数の交渉シナリオ(双方の目的を同時には満たせないもの)を用意し、2つのbotに学習させた。交渉を放棄するか10回のやり取りでも成立しない場合は0ポイントという設定の強化学習だ。
実験では、それぞれに価値をつけた書籍、帽子、バスケットボールを2つのbot間で取り合う交渉を行わせた。目標は、決裂せずになるべく多くのアイテムを獲得することだ。
FAIRは、bot同士の交渉の最後に対話モデルを展開することによって将来の対話をシミュレートし、最善の結果につながる発話を選択する新技術「dialog rollouts」を開発した。
この技術を使ったところ、botは人間と従来より長く会話を続けるようになり、しかも人間のように途中で交渉をあきらめずに目的に向かうようになった。また、実際には欲しくないものに興味を示すという交渉戦術を使うケースがあった。この戦術は学習データにあったものではなく、botが目的達成のために自ら編み出したものという。また、交渉のために新しいセンテンスを作り、語るようになった。
FAIRは、「これはbotに人間のような意味のある会話を可能にするための重要な一歩だ」としている。
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