JALがSNS分析にBIツールを導入、クラウドにこだわった理由とは?(1/2 ページ)
今や企業マーケティングにとって当たり前になりつつあるSNS。その分析のスピードアップを図るため、JALではBIツールを新たに導入した。重要視したのは“クラウド“であることだ。
ローソンやシャープ、良品計画のような大企業から、中小企業に至るまで、今や多くの企業がSNSアカウントを運用している。その目的は、企業(商品)ブランドの認知向上から販売促進、顧客ニーズの収集などさまざまだ。
航空会社大手の日本航空(JAL)も、ソーシャルメディア展開に注力している企業の1つだ。FacebookやTwitterはもちろんのこと、YouTubeやGoogle+、LINE、Instagramを通じて、社員紹介や航空機写真、旅行情報といったコンテンツを提供している。
認知度や好感度といったエンゲージメントを数値化し、高めていくにはどうすればいいか。日々そのようなことを考えながら業務を遂行し、計測するデータが増えた結果、徐々にレポート作成の負荷が高まっていったという。
複数のチャネルをまたいだ分析が困難に
JALではもともと、ソーシャルリスニングツールを利用してデータを取得したり、各SNSのインサイト分析ツールを使ったりと、さまざまなツールを使い分けていた。また、定型データを扱うような決まった機能しか活用できていない点も改善の余地があると感じていたと、JALの山名さんは話す。
「自社が投稿したコンテンツだけではなく、今、世界中でどれだけの人が“JAL”について言及しているのか、お客さまがJALにどのようなサービスを期待しているのかといったことも見ています。1つのコンテンツや施策について、発信と受信、双方をトータルで効率的に分析できるツールが必要だと感じていました」(JAL コーポレートブランド推進部 Webコミュニケーショングループ氏 山名敏雄さん)
そうして山名さんが新たな分析ツールを探し始めたのが、2016年秋ごろのこと。選定にあたっては、クラウド型であること、データ連係がしやすいこと、そして利用データ量に対する制限が厳しくなく、柔軟に対応できることを重視したという。
「社内のコンピューティングリソースを使うとなると、準備や調整に時間がかかるため3カ月から半年くらいしないと使えない可能性もありました。個人情報が含まれているわけでもないので、『クラウドでサクッと使える』ものがいいかなと。実際に利用し始めると、新たなニーズが出てくるものなので、取り扱えるデータ量は多い方が良かったのです」(山名さん)
各種セミナーなどで製品を調査し、マーケティングオートメーションツールも含めた7種類を比較検討。実データを使ったPoC(Proof of Concept)も行ったが、最終的には「Domo」を導入することに決めた。
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