サッポロが対話型AIの実証実験、社内の問い合わせ業務を45%削減
サッポログループが、対話型AIに社内の問い合わせ対応業務を代行させる実証実験を行った。対応業務の45%を削減でき、年内には実業務で利用を始める予定という。
サッポロホールディングスは7月6日、野村総合研究所(NRI)と共同で、AIを利用してグループ全体の業務効率化を推進する実証実験の実施を発表した。
実証実験は、2016年12月1日から2017年4月30日に、サッポログループの従業員を対象に、本社機能分担会社であるサッポログループマネジメントが実施。サッポログループの社員からサッポログループマネジメントへの問い合わせ対応業務を、NRIの対話型AIソリューション「TRAINA/トレイナ」でどの程度効率化できるかを測定した。
その結果、実験期間中に発生した問い合わせ件数の45%が、人手をかけずにAIで回答可能であることが確認できたという。
約6000人の従業員をサポートするサッポログループマネジメントは、従来のメールや電話による対人対応業務では、「複雑な問い合わせに対応する業務の負荷が高い」ことや、利用者にとって「回答待ちの時間が発生し、不満が解決されにくい」「申請手続きが煩雑で分かりにくい」といった課題を抱え、働き方改革を実現する上でも課題となっていたという。
TRAINAは、問い合わせする側がPC上の専用画面で質問を入力すると、その質問内容を特定するための質問や回答を自動で返し、問題を解決するために必要な社内用の申請画面へのリンクを案内する。画面を開くと、それまでのTRAINAとのやりとりで得られた情報(ログイン者名や社員コードなど)が自動的に入力された状態となり、入力などの負荷が軽減される。
これにより、問い合わせをする社員の満足度が向上するうえ、サッポログループマネジメント側の回答負荷を大幅に削減でき、人財を成長分野へシフトさせることが可能となり、業務改革が加速されるとしている。
この成果を基に、サッポログループマネジメントは、年内に実業務でAIの利用を開始する。将来的にはグループ会社への展開も予定しており、サッポロビールでは、年内に内勤部門を対象に実証実験を行い、その後、営業部門への展開を図る予定としている。
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