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“サイバー空間が実世界を再構築する時代”の生き延び方:成迫剛志の『ICT幸福論』
シャドーが実世界に影響を与えていく、そんな“シャドードリブンエコノミー”な近未来とは? そのとき生き残るビジネスとは?――そのヒントになりそうな覚書を紹介する。
この記事は成迫剛志氏のブログ「成迫剛志の『ICT幸福論』」より転載、編集しています。
先日、あるIT関連の講演を聞いた後に、非IT系の人々に感想を聞いたところ、大きく分けて、「今までモヤモヤしていたことが、よく理解できた」と「最近よく聞くことばかりで、つまらなかった」という、2つの相反する回答があった。
私は、「たった1時間で、今起こっていることとそのインパクトについて、誰にでも分かるように俯瞰(ふかん)的に説明してもらえた」と思った。説明の中で例示される個々のトピックスは、ほとんどが既知のものだったが、それでも、スッキリと全体感を整理し、理解することに役立った。
ざっくりとだが、講演内容を紹介しよう。
- ビッグデータで扱えるデータ量が急速に増加
- その量は、全人類のDNAおよび全人類の行動(ライフログ)全てを扱えるもの
- それによって、個人個人の行動や未来の高い確度での予測が可能となってきている
- ヒトだけでなく、モノについても全ての情報がビッグデータで扱えるようになっている
- つまり実世界の全ての情報がビッグデータとして扱えるようになってきている
- 実世界の自然現象、個々人の活動、機械の活動、社会現象がシャドーとして蓄積、分析される
- さらに、シャドーが実世界に影響を与えていく
- このシャドーをどう活用するかがこれからのビジネスの鍵である
- シャドーのビジネス利用は、3つに分類される
- Type1:シャドーのみでのビジネス(サイバースペースのみ、クラウド上だけでのビジネス)
- Type2:シャドー(サイバースペース)から実世界を再構築するビジネス(Uberなど)
- Type3:既存の実世界のビジネスをシャドーで高付加価値化(GEのIoTなど)
- Type1、2の企業の成長スピードはすさまじい
- その成長スピードは、シャドー側で考える力であり、発想力とスピードが鍵である
- それを支えるのは、データサイエンス、アジャイル開発、そしてAI
- アジャイル開発によって、“発想”を短時間で“実現”する
- アジャイル開発は、非ウオーターフォールではなく、従来の開発とは、方法、規律、文化、価値観など全てが異なる
- そして、オープンであり、また皆楽しんでいる
- 人工知能は、AI(Artificial Intelligence)からAGI(Artificial General Intelligence)へ
- Type1、2のビジネスをけん引しているのは、米国西海岸を中心とするごくわずかな起業家たち
- 彼らは横でつながっている。人脈とお金と新しい発想がその小さいグループで流通している
- 彼らの会社の採用、勤務スタイル、評価の概念は、従来の人事管理と大きく異なる(いま日本で盛んにいわれている働き方改革で目指しているものとは異なる)
- エジソンは、「1%のひらめきと99%の努力」と言った。シャドービジネスは、実現が容易になっているので“ひらめきの割合が増加している。「20%のひらめきと80%の努力」
- シャドーを高度に利用し急成長している一部の企業による寡占が進みつつある
- われわれが進むべき道は……
これからの“シャドードリブンエコノミー”な時代を示唆する内容ではないだろうか。皆さんはどんな感想を持つだろうか?
著者プロフィール:成迫剛志
SE、商社マン、香港IT会社社長、外資系ERPベンダーにてプリンシパルと多彩な経験をベースに“情報通信技術とデザイン思考で人々に幸せを!”と公私/昼夜を問わず活動中。
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