乗り気でない人に、働き方改革をどう伝えるか:Microsoft Inspire 2017(3/3 ページ)
働き方改革は、とにかく経営者が腹をくくって実行することが重要――。そう話す日本マイクロソフトの澤円氏が、どうやって働き方改革に興味を持ってもらうかを解説した。
それでもごねる人には
働き方改革を進めようとすると、そのほかにも必ず反対をする人が出てくる。しかし、そうした人に伝えるべき言葉はいくらでもあると澤氏は話した。例えば次のようなものだ。
「サボるやつが出てくるんじゃないか」
場所の制約がなくなると、人はいつでもどこでも活躍できるようになる。しかし、いつでもどこでも働けるようにしようとすると、必ず「サボるやつが出てくるんじゃないか」という声が挙がる。この質問に対する答えは1つ。
「そういう人はもうサボっています」(澤氏)
サボっているということを可視化できるようにすればいい話で、逆に活躍している人は、活躍していることを理解してもらえるため、さらに活躍することになる。
「ツールじゃなくて、顔を合わせて話すことが大事」
とにかくフェイストゥーフェイスで話すことが大事だ、という人も必ずいるというが、働き方改革は「顔を合わせてはダメ」という話ではない。デジタルの世界を作り、充実した時間を増やそう、という点がポイントだと澤氏は言う。
「顔を合わせて話をするときは、すでに起こったことに関する数字の話をしても楽しくありません。それよりも、次に何をするか、どうやったらうまくいくようにできるか、という話をする方が楽しいはずです。デジタル化することで、顔を合わせて話す時間は、むしろ増えるはず、というのが持論です」(澤氏)
より多くの人と会うことができ、会ったときには面白い話をすることが可能になるのが、働き方改革というわけだ。
「それは日本マイクロソフトだからできるんでしょ」
日本マイクロソフトの従業員も、全員が高いITリテラシーを持っているわけではないと澤氏。同社のITシステムは、リテラシーが高くない人が7割くらいいるという前提で作られている。日本マイクロソフトも普通の会社なので、ITに詳しいことではなく、別の高い技能が求められる業務も多くある。そういった人たちにも、サクサク使えるシステムを提供することが重要なので、社員に高いITリテラシーは求めていない。なお、「運用でカバーすればいい」という判断は、絶対にやってはいけないという。
「『運用でカバーする』はリスクでしかありません。これは人柱になるとか死人が出てもガマンするとか、そういうことと同義です。テクノロジーは正しく使ってビジネスをすることが大切です」(澤氏)
働き方改革に取り組まなくてはいけない、という思いはありつつも、なかなか進んでいないという企業も多いのではないだろうか。そんな企業はぜひ、この話を参考に、自身も含めた意識変化を進めていくべきだろう。
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